江戸の絵本4
文化年間から幕末までの絵本。
文化元年(1804)5月17日、「彩色摺にした絵本や双紙は今後は墨摺のみにし、彩色を加えることは無用である」という趣旨の町触が出され、それまで喜多川歌麿や葛飾北斎が手掛けてきた華やかな多色刷りの絵本の刊行は事実上不可能となる。歌麿は文化3年(1806)に世を去り、北斎は一枚刷の浮世絵や曲亭馬琴の『新編水滸画伝』(文化2年)、『椿説弓張月』(文化4~8年)をはじめとする読本や合巻の挿絵などに力を注ぐようになって、絵本の刊行も停滞の時期を迎える。そうした中で文化9年(1812)正月、北斎は『略画早指南(りゃくがはやおしえ)』を刊行して絵手本(絵を学ぶための手本、教科書)というジャンルに乗り出し始める。同じ頃、この分野では北斎に先駆けていた『略画式』の鍬形蕙斎も『草花略画式』を刊行するなど、ようやく絵本の世界にも活気が戻りはじめる。以後北斎はこの分野の制作に取り組み続け、多くの絵手本を発表するが、その代表が大作『北斎漫画』である。
「江戸の絵本4」では、文化年間(1804-1818)から幕末までの絵本を紹介する。作者としては、葛飾北斎(?―1694)、鍬形蕙斎(1664-1729)、合川泯和(生没年不詳)、渡辺崋山(1686-1764)、歌川国貞(1671ー1750)、歌川広重(1726-1792)、渓斎英泉(1791−1848)、大石真虎(1792−1833)、柳川重信(1787−1833)、河鍋暁斎(1831−1889)などを取り上げる。
なお、ここで扱う「絵本」とは、絵画を楽しむ目的で制作された江戸時代の版本をさす(原則として肉筆本は除く)。黄表紙などの小説本や、料理本その他の実用書などで挿し絵を多用した書物は多く見られるが、いずれも主となるのはテキストであって「絵」はそれに従属するものなので、基本的にこれらは取り上げていない。
関連するひと・もの・こと
文化年間(1804ー1817)の絵本
北斎漫画 初編~15編
文政年間(1817ー1830)の絵本
天保期から幕末(1831-1860)の絵本
参考文献
- 鈴木重三 著,美術出版社
- 中野三敏 監修,河野実 編,勉誠出版
- 中野三敏 監修,河野実 編,勉誠出版
- 中野三敏 著,弓立社
- 永田生慈 著,KADOKAWA
- 中野三敏 監修,河野実 編,勉誠出版
- 至文堂 編,国立文化財機構 監修,ぎょうせい
- [葛飾北斎] [画],永田生慈 監修解説,芸艸堂
- 墨田区文化振興財団 編,東京美術
- 「絵本」「画譜」「鈴木春信」「葛飾北斎」「喜多川歌丸」の項目。
- 「絵本」「画譜」「鈴木春信」「葛飾北斎」「喜多川歌丸」の項目。
- 「絵本」の項目。

