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虫豸帖 冬 /

変態を遂げる両生類。美麗な鳴き声は、昔の世の人を魅了した。

無尾目に属する両生類。南極と北極を除くほぼ全世界に約3000種が分布する。成長過程で変態を遂げることで知られ、幼体はオタマジャクシと呼ばれて形態も大きく異なり、成体となってはじめてカエルの呼称が用いられる。多くの雄は喉の下に柔らかな皮膚でできた鳴嚢(めいのう)という器官を備え、繁殖活動の際に発せられる鳴き声を増幅する役割をもつ。形態は頭胴部と四肢に大別され、とくに後肢が発達して陸上での跳躍力に優れ、水中においては指間の水掻きによって推進力が生まれる。また、樹上や渓流に生息するカエルのなかには、前後肢の指端に吸盤をもつ種もみられる。

カエルの肉は鶏肉などと類似して柔らかく栄養価も高いことから、ウシガエルやトラフガエルなどの大型種は食用としても広く親しまれている。また、身近な脊椎動物として入手が容易なこともあり、生物学の世界では実験用動物として用いられることもある。耳腺の分泌液である蟾酥(せんそ)は「ガマの油」とも呼ばれ、 古来、強心作用を備えた漢方薬としても重宝されている。

日本においては古くからカワズの呼び名があり、紀貫之らによって編まれた我が国最初の勅撰和歌集『古今和歌集』(905年)の序文においては、ウグイスとともに美麗な鳴き声をもつ生き物として書き留められた。なかでもカジカガエルの鳴き声は多くの人を魅了し、江戸時代には籠のなかで飼育して鳴き声を楽しむことが流行。松尾芭蕉の「古池や蛙飛びこむ水の音」や小林一茶の「やせ蛙負けるな一茶これにあり」など、俳句の世界においてもその姿がたびたび描かれてきた。

カエルの産卵は水辺で行われることから、気圧の変化を敏感に察知して降雨の前に鳴き出すことが知られている。稲作文化を中心とする日本においてはカエルの鳴き声には特に関心が払われ、害虫を捕食するカエルは水田の保持にも役立ち、田んぼの神の使いと考える地方もあった。

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参考文献

  1. 世界と日本のカエル大図鑑 : 地球のカエル大集合! : 世界のカエル156種類・日本のカエル全43種類松井正文 監修,関慎太郎 写真・文,PHP研究所スキアシガエル、ヤドクガエルなど世界の蛙、156種類と、ヒキガエル、アマガエル等日本の全部の蛙43種の図鑑。(日本図書館協会)
  2. 両生類・はちゅう類松井正文, 疋田努, 太田英利 指導・執筆,小学館日本で見られる種類全部と世界の代表的な両生類・爬虫類の合わせて約500種を紹介。鳴き声のCD付。(日本図書館協会)
  3. くらべてわかるカエル : 識別ポイントで見分ける松橋利光 著,山と溪谷社
  4. 『日本大百科全書(ニッポニカ)』(japanknowledge) 「カエル」の項目外部サイト
  5. 『世界大百科事典』(japanknowledge) 「カエル」の項目外部サイト
  6. 『日本国語大辞典』(japanknowledge) 「蛙」の項目外部サイト
  7. JapanKnowledge・コトバンク所収コンテンツの最終アクセス日は、いずれも2022/09/16。