衣裳人形 吉弥 / ColBase
今にとどめし浮世の姿
雛人形の製作技術が洗練されるにともない、美術作品としての鑑賞を目的とした衣裳人形が生まれます。歌舞伎役者や遊女、若衆など、衣裳人形には多彩な題材が見られ、いずれも豪華な着物に身を包み、生き生きとしています。
このほか、木で作られた人形も高度な発展を遂げました。極彩色の嵯峨人形や奈良人形、素地の味わいを生かして木目込みを加えた賀茂人形など、今日も多くの名品が遺されています。中でも、ふっくらと愛らしい稚児をかたどった御所人形は、公家や大名などの上流階級で尊ばれ、日本の人形文化を代表する芸術性の高い造形表現を見せています。
【歌舞伎役者をモデルにした衣裳人形】
寛文から延宝年間(1661〜81)に京都で活躍した女形の歌舞伎役者、上村吉弥(かみむらきちや)をモデルにしたと伝えらえる衣裳人形。他にも、生き生きとした姿の衣裳人形が作られました。
江戸時代の人々の様子を生き生きと伝える衣裳人形。浮世人形ともよばれ、歌舞伎役者や遊女、若衆など市井(しせい)の人々が題材として選ばれました。なかには両腕を動かすことができるものもあり、思い思いの仕草で楽しむことができます。
【初参人形と御所人形】
裃を着て正座する賢そうな少年の姿。「初参人形」(ういざんにんぎょう)は皇族の嬰児(えいじ)が初めて天皇に謁見する御初参内(おはつさんだい)で拝領したものです。
「御所人形 被布立姿」は白小袖に山繭縮緬(やままゆちりめん)の被布(ひふ)を重ねた可愛らしい公家の少年の姿。鬢幅は元服前の公家少年の特殊な髪形です。御所人形は文字通り御所に関係して始められ、次第に市井に及びましたが、この作品は公家で行なわれた典型をしめし、高い気品をうかがわせます。
【各地に残る「雛遊び」】
柳田国男編『歳時習俗語彙』(1939年刊)には、各地の様々な「雛遊び」の行事が記録されています。
