同志社大学 文化情報学部 DA Project
下京区project
タイトル「地域のレジェンドと子どもたちがお寺で語り合い共創する街の未来; 古写真を媒介としたフォト・エリシテーションWS-DA」
製作者:山下みこと, 星野こゆき, 澤井花奈, 須永ねね, 大井将生
同志社大学文化情報学部デジタルアーカイブ研究室 × Huddle Two「まちの記憶アーカイビングproject」における円光寺(京都市下京区)で2026年3月に実施したWSの成果物DA, 2026年5月.
円光寺ワークショップの概要(2026年3月実施)
本ワークショップは、Huddle Twoとの共創により実施されたものである。背景には、地域の記憶や人々の経験が十分に残されず、共有されにくいという課題がある。特に、日常の風景や個人の思い出といった身近な記録は失われやすく、地域の理解が表面的になりがちである点が問題とされていた。
こうした課題に対し、本取り組みでは過去の写真や対話を通して、街の過去・現在・未来をつなぎ直すことを目指した。また、子どもと地域の大人が関わる場をつくることで、記憶や経験を共有しながら、地域との関係を見つめ直すきっかけを生み出すことも目的としている。
本ワークショップは、地域について学ぶだけでなく、その記憶をどのように受け取り、これからにつなげていくかを考える機会として位置づけられる。参加者は、京都市立七条小学校に通う子どもたちである。
具体的には、地域の古写真を手がかりに、子どもたちと地域の大人が対話を行い、当時の暮らしや思い出を共有することで、写真に写っている出来事やその背景を読み解いていく。さらに、そこから得られた気づきをもとに、未来の下京区のあり方について考えることを目的としている。
デジタルアーカイブ研究室
デジタルアーカイブとは、昔の写真や本、映像、文化などをデータとして保存し、インターネットを通じて誰でも見られるようにする仕組みです。
私たちは、そのデジタルアーカイブを活用して、これまで一部の場所でしか見られなかった貴重な資料を多くの人に届けたり、教育や地域活性化などに役立てたりする方法を研究しています。また、ただ保存するだけでなく、情報を分かりやすく伝えたり、新しい価値や交流を生み出したりする使い方についても考えています。そして、今をどう切り取り、何をどのように未来に残し、継承するかという課題にも取り組んでいます。
Huddle Two
今回、DA研究室と共創したHuddle Twoさん。 京都・梅小路を拠点に、「空き家や倉庫、町家」など使われていない場所を再生し、人が集い、笑顔が生まれる“あたらしい景色”をつくっています。 町家を複合施設に、倉庫をものづくりと商いの拠点にするなど、建てる・貸すだけでなく、土地の物語や人の想いを大切に、まちをもっと好きになれる未来を仕掛ける、下京区の不動産屋さんです。
まちのレジェンドゲスト
北川さん:元人気うどん店店主、組運動会総括長、地域活動多数
塩谷さん:七条生まれ。祖父が地域の世話役
圓光寺ご住職(河野さん):PTA・横断歩道の旗持ちなど地域を見守る存在
地域の変遷
まちの記憶の年表
※西大路駅開業、京都市立七条小学校と改称、西大路駅リニューアルをクリックすると、詳しく見ることができます。
成果物
子供たちの感想
子ども(4年生)
昔の日本のことを知れて良かったです。七条が日本の歴史につながっていることを知れました。
レジェンドの話は分かりやすかったです。
子ども(1年生)
昔の写真を見て、車が古いけどボロボロじゃなかった。
小学校は全然違った。くすの木が3本だった。(?)今は4本ある。
子ども(4年生)
一番覚えているのは、西大路駅ができた時の写真で、今と全然違った。
学校の写真は、運動会で三輪車を使った競技があったのが面白かった。
昔の家は木の家だった。今の家は,木の家と分からない(壁紙を貼っている)
未来のことを考えて、二酸化炭素を減らそうと思った。
レジェンドの感想
塩谷さん
梅小路に関心を持ってもらえるきっかけになったワークショップだったと思います
大人の私たちに話す的が はっきりせず、ただただ、子供の頃の取り留めのない話しかできなかったのが 残念でした。事前に、もう少しテーマを知らせてくれたら準備ができたと思います。
ちょっと年上のお兄さんお姉さんと触れあう時間を具体的な形で 円光寺さんならではのできることなかったのかしら?と思いました。何度かワークショップをしてくださることで、よい形になっていくだろうなと思いました。ありがとうございました!
河野さん
大変興味深い取り組みにご縁をいただき、ありがとうございました。
感じたことをコメントさせていただきます。
今までも地域ごとに郷土史をまとめた冊子を作成したり、語り継ぐ取り組みを行っていることは知っていましたが、七条学区においては小学校の歴史を記録したものがあることを知る程度でした。
資料をデジタルでアーカイブするという新しい手法は面白く、今後活用の幅が広がるものであると感じました。
短い準備期間ながら、資料を集められ、小学生も興味をもって取り組んでくれたと思いました。さらに資料を増やし参加者が増やせたらアーカイブも充実するかと思います。
今後に向けての課題点として、個人的に感じるのは、
・デジタルに疎い高齢者に対するケア(資料集めの補助や閲覧しやすいコンテンツの提供)をどう提供するか
・小学生への問題提議の方向性(漠然と未来を考えさせるより、「20年後の七条小学校」など場所や時間を設定して考えさせるなどの工夫)を示した方が議論が進むのでは
・教育的意図(こんな人間に成長してほしいという思い)を全体で共有できれば、取り組みに一定の軸が形成されるのではないか
ということなどでしょうか。
自治連合会の各種団体に協力依頼したり、小学校で学年毎に取り組んでもらったりすることで、取り組みが更に発展するのではないかと思います。
ワークショップ振り返り座談会
ワークショップ終了後、運営メンバーによる振り返りの座談会を行いました。当日の出来事や子どもたちの反応を手がかりに、それぞれの視点から気づきや課題について語り合いました。
須永:今回参加できなかったんだけど、実際やってみてどうだった?
山下:初めてで大変なこともあったけど、子供たちが楽しそうにしていたので良かったかなと思います。
星野:子供たちが最後に「楽しかった!もう1回やりたい!」って言ってくれて、やりがいを感じたよね。私たちも昔の貴重な話とか聞けたのがよかったよね。
澤井:街のレジェンドたちからその街にまつわるお話を聞いて、下京区という街への興味がさらに湧いてきたよね。
須永:へえ、そんなに話も広がったんだ。写真を見るっていうより、話す時間が中心だった感じ?
山下:うん、写真はきっかけって感じだったね。そこからどんどん思い出話が出てきて。
星野:写真だけじゃわからないことがたくさんあって、「このとき実はこうだった」とか、そういう話がすごく面白かった。
澤井:普段なかなか聞けない話ばかりだったし、記録として残していく意味も大きいなって感じたよ。
須永:なるほどね。子供たちの反応はどうだったの?
山下:意外とすごく興味持って聞いてたよ。あと、自分なりの見方で写真を楽しんでたのも印象的だった。
星野:変な質問にもちゃんと答えてくれてね。「このとんがり帽子なに?」とか(笑)
須永:それ面白いね(笑)。場の雰囲気も良さそう。
澤井:すごく自然に会話が生まれてたよ。堅い感じじゃなくて、みんなで話しながら作っていく感じ。
須永:いいなあ、それ聞くと余計参加したかったな。逆に、やってみて難しかったところとか改善できそうなところってあった?
山下:そうだね…当初は、昔の話を聞くだけじゃなくて、それを子供たちが「これから」にどうつなげるかまで考えられたらいいなと思ってたんだけど、そこまではなかなか難しかったかな。
星野:うん、過去の話を聞くところまではすごく盛り上がったんだけど、「じゃあこれからこの街をどうしたいか」とか「自分たちに何ができるか」っていう部分までは、うまく広げきれなかった感じはあるよね。
澤井:もう少し最後に振り返る時間とか、未来について考える問いを用意してもよかったかもしれないね。
須永:なるほどね。確かにそこがつながると、より深いワークショップになりそう。
山下:うん。でもまずは楽しんでもらえたのがよかったし、次はそこも意識してやってみたいね。
星野:次はぜひそのあたりも一緒に考えながらやりたいね。
澤井:須永さんも一緒にね、ぜひ。
歴史フェス・クローバー祭 【アーカイブ・ガチャ】
製作者:三輪玲以佳, 大井将生
はじめに
ジャパンサーチの正式版公開から5年。デジタル・アーカイブがますます身近なものになっています。遠くの美術館・博物館の資料も、めったに見られない貴重な史料も、デジタル・アーカイブならいつでもどこでも、好きな時に好きなだけ見ることができます。デジタル・アーカイブを見れば事足りる、ということも多いのかもしれません。
しかし、全てのデジタル・アーカイブはリアルなものを下敷きにしているはずなのです。デジタル・アーカイブにはそれぞれ実物があったはずです。仏像でも、写本でも、全て(機会に恵まれれば)手に取ることのできるものです。あるいは写真や絵画であれば、写真や絵画そのものだけでなく、その対象もリアルなものに含めることができるのではないでしょうか。つまり、伏見稲荷大社の写真は、写真そのものという実物と、伏見稲荷大社という、写された対象もまた実物になるのです。
デジタル・アーカイブから実物へ。その繋がりを手助けする仕掛けとして「アーカイブ・ガチャ」を提案します。例えば、デジタル・アーカイブの画像を印刷して作ったプラパンのキーホルダーはいかがでしょう。ガチャを回してどんな資料が出てくるかはお楽しみです。出会った資料からどのような発見があるのか、ワクワクしませんか?
デジタル・アーカイブを「モノ」化し、「モノ」からまたデジタル・アーカイブに立ち返り、そして実際に実物を見に行ってみる、という循環が生まれたら素敵だな、と思います。今日はぜひキーホルダーを持って京都のまちに飛び出してみてください。面白い出会いがあるかもしれませんよ!
(追記)
開発したペアキーホルダーは、歴史フェス(https://sites.google.com/view/historyfes/historyfes2025)・クローバー祭(https://cloverfes.com/)で展示・販売し、多くの方に楽しんでいただくことができました。
ガチャガチャの概要
遊び方
カプセルからキーホルダーを取り出したら、観察してみましょう!
実はそれぞれのキーホルダーに印刷されている資料は全て元の資料の半分になっています。
下にある資料一覧と見比べて出典を探すもよし、文字を読んでみるのもよし、じっくり見てみましょう
資料一覧
京都の名所シリーズ
京都の名所シリーズでは、京都府内の様々な名所を捉えた写真、絵画を集めてみました。キーホルダーを片手にその場所を訪ねてみると、素敵な発見があるかもしれませんね!
引札シリーズ
引札とは、現代で言う所の広告チラシです。引札シリーズでは、趣向を凝らした鮮やかな引き札を集めてみました。
実は今回集めた引札には共通点があります。さて、何でしょう?(ヒント:文字に注目!)
引札を出しているお店があった場所やその周りが今はどうなっているのか、調べてみるのも面白そうですね!
作ってみよう
プラパンのつくりかた
活用方法の提案
1.デジタル・アーカイブを活用する
デジタル・アーカイブを活用すれば、古今東西の資料を対象とすることができます。例えば、古い写真を素材にして、実際に現代の景色を見に行くというコンセプトで活動を組み立てることも可能です。
また、地域振興の観点からは、デジタル・アーカイブをキーホルダー化し、ガチャで入手してもらうといった活用方法も考えられます。児童生徒、あるいは学生が作ったガチャを置いておくのも新しい発見やコミュニケーションに繋がるかもしれません。その場合、ガチャの制作者がつくったジャパンサーチ内のギャラリーにQRコードを介してアクセスできるようにすると、制作者の思いがより感じられるようになるのではないでしょうか。
アーカイブ資料を閲覧し、さらに現地にも足を運んでもらうことで、地域の魅力を知ってもらうきっかけになると思います。
2.自分で撮った写真を活用する
他方、自分で撮影した写真を活用することも可能です。この場合、写真の情報(撮影場所や日時など)はご自身で作成していただくことになります。その反面、自由度が高いということがメリットになります。
学校内のスポットを対象にすれば、6年生が1年生に学校内を紹介する学習に、地域のスポットを対象にすれば、地域学習の成果を他学年に紹介に活用することができるのではないでしょうか。
※プラパンの大きさは自由自在です!今回は資料を2分割していますが、4分割、6分割にすることも可能です。分割数を1グループあたりの人数にしておけば、班分け時のアイスブレイクにも活用できます。
※プラパン作成が難しい場合は、(耐久性とキーホルダーにすることにこだわらなければ)写真を厚紙に貼ることでも代用できます
さぁ、次はあなたの番!何をガチャにしますか?
2025年度の授業成果物(優秀作品の紹介)
「デジタルアーカイブ活用特論」の授業で制作された作品
2025年度「ジョイント・リサーチ」「デジタルアーカイブ演習」「デジタルアーカイブ構築特論」の授業で制作された作品
戦争に関する映像・映画アーカイブを活用した教材




