解説
吉田博が本格的に私家版木版画の制作に着手したのは、三度目の欧米旅行から帰国した大正14年(1925)。その翌年には早くも41点もの作品を精力的に生み出したが、その中には博の木版画を代表する「日本アルプス十二題」「瀬戸内海集」シリーズも含まれている。この作品は、博の海景を代表するシリーズ「瀬戸内海集」(全9点)の第一作目である。時刻は日暮れであろうか。凪の海に二艘の帆船が静かに浮かぶ。水平線に沈みゆく夕陽が、空をほんのり紅く染め、海原に美しい光の道をつくりだしている。波間に反射する光彩が、丸ノミによる彫り跡によって見事に表現されており、博の木版画表現に対する卓越した理解と技術を見ることができる。本図は、故ダイアナ元英国皇太子妃が、ロンドンにあるケンジントン宮殿の執務室に飾っていたことでも知られている。
収録されているデータベース
東京富士美術館収蔵品データベース
日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど様々なジャンルの作品約30,000点の内、約2,000点を掲載。
最終更新日
2026/01/09