解説
江戸時代に入り、桃山時代の豪奢で勇壮な狩野派様式を、瀟洒端麗な様式へと革新したのは狩野探幽であった。探幽は新たにやまと絵の技法も取り入れ、「景物画」と呼ばれる日本の名所における四季や風俗を主題とした新しい絵画の領域を開拓した。本作で描かれる吉野山の桜、龍田川の紅葉は、春秋の季節を代表する景物として和歌にも詠まれ、古来より親しまれてきた伝統的画題の一つである。画面全体の切箔と砂子を用いた金雲や霞の表現、流麗な流水の描写、桜花の春と紅葉の秋との対比が美しい。ここでは狩野派特有の樹木や岩の豪快な描写をおさえ、やまと絵風の花木や山々の大らかで精緻な画風を引き立たせることで、自然の心地よい風情を引き出すことに成功している。
収録されているデータベース
東京富士美術館収蔵品データベース
日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど様々なジャンルの作品約30,000点の内、約2,000点を掲載。
最終更新日
2026/01/09