解説
海の向こうに昇りゆく朝日とそれを見守るかのように海辺に寄り立つ3本の松、そしてその合間を埋めるかのようにリズミカルな動きを見せる波。シンプルな画面構成だが、こうした静と動の心地よい調和が画面に適度な緊張感をもたらし、観る者の心を穏やかにさせる。また旭日と霞んだ雲に金泥を施し、主要な部分を墨色で仕上げた簡素な色調が、画面を質実で格調高いものとしている。大正末から昭和の初めにかけては、大観が《生々流転》(東京国立近代美術館蔵)や《瀟湘八景》(大倉集古館蔵)など墨画の傑作を次々と世に送り出した時期。松の精細な表現や、墨の濃淡と筆の擦れの特質を生かして、勢いよく描かれた緩やかな砂丘の描写など、当時の大観の卓越した墨技を窺える佳品である。
収録されているデータベース
東京富士美術館収蔵品データベース
日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど様々なジャンルの作品約30,000点の内、約2,000点を掲載。
最終更新日
2026/01/09