解説
5世紀後半から6世紀にかけて、馬の普及と共に、馬形埴輪も作られました。この馬形埴輪は、6個の鈴をつけた鏡板+かがみいた+を伴う轡+くつわ+をつけ、胸繋+むながい+には4つの馬鐸+ばたく+をさげ、尻繋+しりがい+には3方向に三鈴杏葉+ぎょうよう+をつけています。古墳時代の飾り馬の様子を知ることができる貴重な資料です。
これは埴輪(はにわ)。3世紀から7世紀に造られた、有力者や王の墓である古墳(こふん)を飾った素焼きの土製品です。馬形の埴輪は古墳時代半ば以降、特に関東地方で盛んに作られました。これは、日本に馬が伝来し、普及していった時期と一致します。その中でもこの作品は特に状態がよく、馬具の細かいところまで残っているのが特長です。馬のたてがみはまっすぐに刈り込まれ、頭頂部で結わえられています。尻尾の毛もぴんときれいに束ねられています。口元につけられたくつわには左右それぞれに6つの鈴がついており、胸元のベルトにも4つの大きな鈴がぶら下がっています。そして、お尻には三方向に杏葉(ぎょうよう)と呼ばれる飾りがついて、やはりそれぞれに3つの鈴がついています。胴の部分には鞍やあぶみ、泥よけもセットされています。綺麗に着飾って立派な馬ですね。
馬具は古墳の副葬品として多く出土していますが、この埴輪の馬具はそれを忠実に再現しようとしています。実際の馬具の鈴は青銅製であったので、当時は金色に輝いていたでしょう。この作品は、こうした馬が、身につけたたくさんの鈴を鳴らして歩く姿を表現しています。きらびやかな馬具で飾られた、よく手入れされた飾り馬は視覚的にも聴覚的にも見る者を圧倒したことでしょう。まさに豪族の権威の象徴だったのです。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/06/29