帷子 黒麻地流水紅葉模様 Summer Kimono (Katabira) with Flowing Water and Autumn Leavesかたびら くろあさじりゅすいもみじもよう
解説
帷子は、元々は裏地のない単仕立の総称。江戸時代には単仕立の麻製の小袖の名称となった。型で鹿の子模様を表した摺匹田や、絹の刺繍などの技法は江戸時代前期から中期を思わせる。流水に紅葉を組み合わせた模様は紅葉の名所、龍田川を表している。
帷子とは、麻でできた夏のきものです。裏のない単(ひとえ)仕立てになっています。麻といっても、ごわごわしたものではなく、上質な細い糸で織られたさらっとした肌ざわりで、蒸し暑い日本の夏にはさぞ着心地よいものだったでしょう。
黒い地に、鮮やかな色合いで紅葉の模様が散らされています。絹糸で刺繍された紅葉のほかに、細かい粒々の模様の紅葉もあります。これは、摺匹田(すりびった)と呼ばれる、絞り染めをしたかのような模様を、型を使って摺り表す技法です。
紅葉の間に繰り返される白くカーブした線は、流れる水をあらわしています。流れる水、つまり川と紅葉といえば、和歌にも詠まれた竜田川(たつたがわ)が思い浮かびます。奈良県生駒山地を流れる川で、古くから紅葉の名所として知られています。流水の単純化された軽快なデザインと、雅やかな紅葉の対比が特徴的です。
袖の模様の切れ方を見ると、もともとは振袖として作られたものと思われます。格調高く文学的なデザインから想像するに、着ていたのは武家のお姫様でしょうか。
麻でできた夏のきものに流水と紅葉の模様とは不思議な組み合わせですが、涼しげな流水や、季節を先取りし秋をイメージさせる紅葉のモチーフで、エアコンのない時代に、目から涼しさを誘う工夫でもあったのでしょう。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/03/16