解説
片脚を組んだ膝の上に右肘を休め、ほおづえをつく姿の仏像です。軽く丸めた背中や、ややかしげた首、そしてほんのわずかに頬に触れる右手の指先などのしぐさが、自然な印象を与えます。
腕には装飾品をつけ、髪を頭の上で結い上げたスタイルから、これが菩薩であることがわかります。このように片脚を組み、じっと考える姿の半跏思惟像(はんかしいぞう)は、日本では人々を救う弥勒菩薩(みろくぼさつ)として信仰されることが多くありました。
銅の表面に金メッキをしてつくられたこの仏像は、霊山として知られる和歌山県・那智山の経塚から掘り出されました。経塚とは、土の中に、経典の入った経筒や、鏡、仏像などを埋めておさめた場所のことです。平安時代後期に、釈迦の死後二千年経つと仏の教えが衰えてしまうという末法思想(まっぽうしそう)が流行した際、56億7000万年後にこの世に登場して人々を救済するとされたのが弥勒菩薩でした。そのときまで仏の教えを残すため、人々は経塚をつくったのです。いわば56億7000万年後の未来に向けたタイムカプセルに、この仏像はおさめられていました。
片脚を組んで考える姿の半跏思惟像+はんかしゆいぞう+はアジア各地で作られました。インドや中国では瞑想+めいそう+する出家前の釈迦として、朝鮮半島や日本でははるか未来に現れる弥勒+みろく+菩薩として信仰されることが多いです。本像は将来の弥勒の出現に備えて霊山である那智山+なちさん+に埋納されたと考えられます。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/09/21