解説
関東に住む武士の兄弟の物語。都の生活にあこがれる兄吉見二郎*よしみじろう*は宮仕えした都の女房を、武芸一途の弟男衾三郎*おぶすまさぶろう*は関東一の醜女を妻に迎えるが、大番役*おおばんやく*で京都に上る際、武芸を怠っていた二郎は山賊に襲われ死んでしまう。 武士の本分とは何かを問うような物語。(h032_150915)
鎌倉時代、関東に住んでいた武士の兄弟の物語を絵巻にしたものです。
都の暮らしに憧れる兄、吉見二郎(よしみじろう)は、宮仕えの経験もある美しい女房を、武芸一筋の弟、男衾三郎(おぶすまさぶろう)は、関東一の醜い女を妻に迎えました。
絵巻はまず、兄二郎と黒髪の美しい妻の貴族のような暮らしを描いています。部屋の中には琴や琵琶が置かれており、妻はゆったりと絵を眺めていますね。
いっぽう、弟の三郎は武芸の稽古に明け暮れていました。三郎が、弓矢の稽古、笠懸に励む場面は歴史の教科書にもよく掲載されているのでご存知の方も多いはずです。
やがて、二郎夫妻には美しい娘が生まれ、慈悲と名付けます。三郎夫妻も子宝に恵まれましたが、娘の容貌は母にそっくり、顔は横に広く、縮れ毛でわし鼻、ドングリ眼(まなこ)に描かれています。
場面は一転して、兄弟が大番役で京都に上る途中の出来事を描いています。武芸を怠っていた二郎は山賊に襲われ、首を切られて死んでしまいました。
その後の物語は長くなるので簡単にご紹介しましょう。
二郎の妻と娘の慈悲は三郎の家に引き取られ、使用人として井戸の水汲みなどをさせられていました。そんなおり、美しい娘がいると聞きつけた国司が慈悲に求婚すると、三郎は自分の醜い娘と妻合せ、国司におおいに呆れられました。
おしまい。
なんとも中途半端な終わりかたで、おそらくはこの続きがあったものと思われます。
この絵巻を描かせたのは、貴族の側ではなかったかと考えられています。当時台頭してきた武士に対して、田舎の武士が都の貴族の真似などしてもだめ、という思いを表現したかったのかもしれません。
収録されているデータベース
ColBase
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最終更新日
2026/04/20