解説
百川は、名古屋に生まれ、中国の明清の絵画や画譜を学んだのち、池大雅と与謝蕪村により大盛する南画の先駆者となった。左右隻にそれぞれ唐伯虎(唐寅【とういん】)と盛茂燁【せいもよう】といった中国画家の筆法に倣【なら】ったことを記している。
五月雨をあつめて早し最上川。中国の大河ながら、あの芭蕉の句を連想したくなる。俳諧師出身の百川らしいセンスが、新渡の南画風と響き合い生まれた画面。細かい筆線と点描の集積が味わい深い。大雅・蕪村に先駆ける百川の代表作で、南画草創期の大作だ。
(山下善也氏執筆)
高いところから見下ろすような視点で、風景が描かれている屏風です。右と左、つながった景色ではありません。左側の屏風に描かれた、赤く色づいた木々を見ると、こちらは秋の景色をあらわしているようです。とすると、右側の屏風は対となる春の景色かもしれません。帆のある舟が浮かんでいるので、描かれているのはかなり幅の広い、大河であることがわかります。点描のような細かい筆のタッチや、ぼかしをつかって、苔むした岩肌のふっくらとした質感や、柔らかな色のうつりかわりを描いています。
作者の彭城百川(さかきひゃくせん)は、江戸時代の画家で、いまの名古屋に生まれました。当時の新しい中国文化に憧れた画家の一人で、明や清時代の、南宗画(なんしゅうが)とよばれたスタイルの絵画に影響をうけました。南宗画が日本で発展したものを「南画」とよびますが、彭城百川はその先駆けといえる画家です。
ここで、南画の楽しみ方をひとつご提案します。絵の中に描かれた人物に、なりきってみるのです。そしてその人物を、絵の中で自由に歩かせてみてください。道をたどり、山をのぼり、舟で川をわたり…と想像をふくらませ、作者のつくり出した理想の世界に遊んでみてください。
収録されているデータベース
ColBase
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最終更新日
2026/07/20