解説
ヒンドル・ラーガという、雨季の到来を喜ぶ音楽を絵画化したものです。ヒンドラはブランコのことで、画面下方には、青い肌のクリシュナとその妻ラーダーが乗り、周りの女はブランコを漕【こ】ぎ、また音楽を奏でています。遠景の空には雨と結びつく雲が描かれています。
インドでは、インド神話や、シヴァ神、ヴィシュヌ神などのヒンドゥー教の神々、王の肖像や歴史的なエピソード、男女の恋愛などさまざまなテーマを緻密なタッチと鮮やかな色彩で描いた、細密画とよばれる絵画のジャンルが発達しました。多民族国家であるインドでは、細密画の表現も地域によってさまざまで、それがまた魅力であるともいえます。
インド独自に展開した細密画の表現の一つに、ラーガマーラがあります。ラーガとは、インド北西部における伝統音楽の旋律(せんりつ)のことです。この旋律に、男女の物語をうたった詩を掛け合わせた音楽を絵画化したものが、ラーガマーラです。ラーガマーラには、男性の旋律であるラーガ、女性の旋律であるラーギニー、その子の旋律であるラーガプートラやラーガプートリーがあります。この絵は男性の旋律を絵画化したものです。
ヒンドルとはブランコのことです。青い肌の男性はヒンドゥー教の神クリシュナで、ヒンドゥー教の神々の中で、最も信仰を集めました。その隣の女性はクリシュナの妻ラーダーです。二人は仲睦まじくブランコに乗っています。周りにいる女性たちは二人のためにブランコを揺らしたり、さまざまな楽器を演奏したりしています。遠景(えんけい)の空には雨雲を描いています。
ヒンドル・ラーガは本来、雨季が到来(とうらい)した喜びを音楽の旋律として表現したものなのですが、それが細密画の世界では男女の物語と組み合わせる形で表現されているのです。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/07/20