解説
この3幅はもと足利義満の収蔵品で、若狭酒井家、本願寺などに分かれて伝わりましたが、現在は全てが東博の所蔵となり、室町時代の姿で鑑賞できるようになりました。梁楷【りょうかい】の作品は中国にもほとんどない中、日本で大切に鑑賞されてきた名品です。(TA-141、617、642三幅の解説)(植松氏執筆)
梁楷(りょうかい)は中国南宋時代の宮廷画家で、丁寧で細かな描写と、激しく荒々しい描写と、それぞれに巧みであったといいます。中央の「出山釈迦図」は山奥での修行をへて下りてきた釈迦を描き、左の「雪景山水図」は雪の降り積もる山中を行く旅人の一団を描きます。梁楷の弟子の作品と考えられる右の「雪景山水図」を含め、三点はもとは別々に制作されました。しかし日本に伝来した後、14世紀から16世紀に室町幕府を治めた足利将軍家に収蔵されると、三点一組として鑑賞されるようになりました。
各画面には、梁楷の対照的な二つの描き方が見られます。修行のためやせ衰えても、眼光の鋭さを失わない釈迦の厳しい顔は、立体感が丁寧に整えられ、雪山を行く人や馬の帽子や馬具は金色で細かく装飾されています。一方で釈迦の背景の枯れ木は、遊びのある激しい筆線で構成されます。また雪景山水図で旅人の後ろにそびえる雪山には、ひっかくような粗い筆線が目立ちます。緻密さと荒々しさ、梁楷の二方向での表現が見事に結びつけられた傑作です。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/03/16