日本酒
デンプンの糖化にコウジカビを利用する日本独特の醸造酒
日本で作られる清酒、濁酒(どぶろく)、焼酎などの酒の総称であるが、ふつうは清酒をさす。アルコール分15~20度。蒸し米、麹(こうじ)、水を混合し、デンプン糖化と酵母によるアルコール発酵を並行させながら醸造する。デンプンの糖化に麹黴(コウジカビ)の酵素を使うところが醸造酒としての日本酒の特徴。これらの原料を一時に仕込まず、まず3種の原料を混合して酛(もと)(酒母[しゅぼ]とも)を作り、それを初添(はつぞ)え、仲添(なかぞ)え、留添(とめぞ)えの3段階に分けて、原料を増量しながら仕込んでいく。その後1か月で熟成した「もろみ」(アルコール分20度)が濁酒に当たるが、それから濾過(ろか)、火入れなどの操作を経て清酒ができる。清酒の仕込みは従来は12月から翌年3月までの間、杜氏(とうじ)が行ってきたが、いまでは四季を通じて醸造できる。
古くは米を口で噛んで唾液に含まれるアミラーゼを使って糖化し、発酵させて濁酒を作った。酒を「醸(かも)す」というが、これは「噛んで作る」の意。やがて麹の利用が始まり、室町時代には麹も蒸し米も、玄米から白米を使うように変わった。江戸時代になると現在とほぼ同じような方法で清酒が作られるようになり、摂津の池田、伊丹(いたみ)などが銘醸地であったが、天保年間(1830―1843)に西宮(にしのみや)で酒造に好適な硬水(宮水[みやみず])が発見されてから、西宮付近の灘(なだ)が本場となった。灘は、その品質の向上とともに、文化12年(1815)には生産高で伊丹を抜いた。これら上方で作られた酒は、菱垣廻船(ひがきかいせん)や樽廻船(たるかいせん)で大坂から江戸に海上輸送されていた。
スペインの宣教師、フランシスコ・ザビエルは、1552年(天文21)に書かれたイエズス会への報告で、「酒は米より造られるが、そのほかに酒なく、その量は少なくて価は高し」と、日本酒に関してヨーロッパ人として最初の記述をしている。
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兵庫県神戸市東灘区にある酒造、菊正宗の記念館。創業以来の酒造りに関する歴史史料が展示されている(日本酒専門WEBメディア「SAKETIMES」より)。
長野県大町市にある博物館。古来の酒造りに関する歴史資料や全国の酒瓶が展示されている(酒の博物館HPより)。
東京都港区にある日本酒造組合中央会が運営する博物館。日本各地の酒器や酒造に関する道具類などが展示されており、各地の酒の試飲もできる(日本酒造組合中央会HPより)。
広島県東広島市にある独立行政法人 酒類総合研究所のHPより。研究所の前身は大蔵省醸造試験場。日本酒についてのさまざまな情報を発信している。
「日本酒学」の確立のために、平成30年(2018)に新潟県新潟市西区の新潟大学内に設立された。HPによると、日本酒学に関わる「教育、研究、情報発信、国際交流」を柱に活動を展開している。
酒税の保全及び酒類業の取引の安定を図ることを目的とする組合として、昭和28年(1953)12月に設立。HPは「日本酒」と「本格焼酎と泡盛」から構成されている。
1975年に設立。 HPによると、「地酒」という言葉は、この組合が企画した「全国地酒頒布会」に始まる。
明治39年(1906)に醸造協会として設立された。平成23年(2011)より「公益財団法人日本醸造協会」となる。「きょうかい酵母」の頒布で有名。
独立行政法人 酒類総合研究所情報誌より。
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参考文献
- 秋山裕一 著,岩波書店
- 「日本酒」「清酒」「酒」の項
- 「清酒」「酒」の項
- 「清酒→酒」の項
- 「日本酒」「清酒」「酒」の項
- 対外関係史総合年表編集委員会 編,吉川弘文館
- 歴史学研究会 編,岩波書店