猪
多産で知られる、身近な狩猟動物。明治期には紙幣にも描かれた
偶蹄目イノシシ科に属する哺乳類の一種。アジア、ヨーロッパ、北アフリカに広く分布し、日本では北海道および東北と北陸の一部地域を除く各地の山野に生息。全国的に見られるニホンイノシシの他、南西諸島には小形のリュウキュウイノシシが見られる。全身を黒褐色の剛毛が覆い、興奮時に逆立つ頭頂部から背にかけての毛を指して「怒毛」と呼ぶ。体長は1~1.5mほどで、雄は犬歯が発達して口外に牙となって露出し、生涯にわたって伸び続ける。古くは「イ」の一文字で「猪」を意味し、食用できる獣を「シシ」といったことから、後に「イノシシ」と呼称されるようになった。
縄文時代の遺跡から猪の骨が多数発掘され、また出土品の中には猪を象った土製品も見つかっており、古くから身近な狩猟動物であったと考えられている。十二支の一つに数えられる動物としても馴染み深く、亥は旧暦10月の異名としても知られる。中国より伝わった風習に亥の子祝いがあり、旧暦10月の最初に訪れる亥の日(12番目の日)に餅を食し、多産の猪にあやかって子孫繁栄と無病息災を祈る行事が西日本を中心に現在も見られる。また、明治期に発行された2種の10円紙幣には猪が描かれて、通称「イノシシ札」として当時の人々に親しまれた。
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参考文献
- 阿部永 監修,阿部永, 石井信夫, 伊藤徹魯, 金子之史, 前田喜四雄, 三浦慎悟, 米田政明 著,自然環境研究センター 編集制作,東海大学出版会
- 小宮輝之 著,薮内正幸 絵,山と溪谷社
- 井本英一 著,法政大学出版局
- 鄭高詠 著,白帝社
- 鈴木棠三 [著],KADOKAWA