煙草
煙を吸う嗜好品、原料となるのはナス科タバコ属の植物
タバコはナス科タバコ属の植物で、栽培上は一年草として扱われ、煙を吸う煙草の原料となる。現在、栽培されているのはニコチンを主アルカロイドとするタバコとマルバタバコである。栽培タバコのほとんどは前者で、両種以外の種(しゅ)をタバコ野生種と呼んで区別している。タバコの茎は高さ1~2.5mで、長さ約60cmの葉は卵形で互生する。JT(日本たばこ産業株式会社)の栽培カレンダーによると、葉タバコは普通1月に播種(はしゅ)、3月に苗を畑に移植し、6月に収穫。7月から乾燥させて、10月に出荷。工場で加工処理や乾燥・熟成などの原料工程を経て製造用煙草の原料となり、この原料を銘柄ごとの味わいに仕上げる製品工程を経て商品となる。
タバコはアメリカ大陸を原産地とし、世界各地で栽培されているが、2014年の世界生産量の第1位は中国で299万5000トン、以下ブラジル、インド、アメリカ合衆国、インドネシアと続き、わが国の生産量は2万トンであった。世界の生産量のうち、種類は主に温帯地域で栽培される甘味のある黄色種が約6割、黄色種よりやや冷涼な地域で栽培され香料がなじみやすいバーレー種が1割強、地中海性気候の石灰岩地帯で栽培されるオリエント種が1割弱で、残りの2割を在来種とその他の品種が占めている。わが国では、主に西日本で黄色種、東日本でバーレー種が生産されており、在来種は一部地域のみで生産される。嗜好品としての煙草は、葉を重ね巻いた葉巻(シガー)、細かく刻んで煙管(きせる)やパイプで吸う刻み煙草などもあるが、紙巻(シガレット)が一般的である。また、鼻に粉をすりつける嗅(かぎ)煙草、香料などを加えて押し固めた噛(かみ)煙草などもある。
喫煙の習慣は紀元前に中央アメリカのインディオに始まるといわれ、1492年のコロンブスによる「新大陸」発見後にヨーロッパへ伝来。以後、世界に広まった。日本へは、16世紀にポルトガル人によって伝来したといわれる。明治以後、タバコ生産は一段と拡大し、明治政府はさまざまなタバコ税を課し、明治37年(1904)には製造から販売までを国家が独占するタバコ専売制を実施した。昭和24年(1949)からは国から委任を受けた日本専売公社がタバコ事業を進めたが、同60年4月に専売制度が廃止されたことに伴って、日本専売公社を民営化した日本たばこ産業株式会社が製造・販売を行うことになった。
タバコの成分のうち人体に悪影響を与えるのはニコチンとタールで、強度の喫煙によってニコチン中毒を発生させ、肺ガンの原因ともなっている。わが国では未成年の喫煙は禁止されており、昭和47年からアメリカの例にならって有害表示がなされるようになった。また、非喫煙者が煙草の煙にさらされる状況は受動喫煙と呼ばれ、嫌煙権(けんえんけん)の高まりを招くこととなった。
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世界の煙草(国立民族学博物館 標本資料目録より)
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東京都墨田区横川に所在。専売品であった「たばこ」と「塩」の歴史と文化をテーマとする博物館で、昭和53年(1978)11月に日本専売公社(現在の日本たばこ産業株式会社)によって渋谷の公園通りに開館。平成27年(2015)4月に現在地に移転しました。
徳島県観光協会が運営するサイト「阿波ナビ」より。たばこ資料館は徳島県三好市池田町に所在。池田は、幕末から明治にかけて刻み煙草で栄えました。たばこ資料館には、年代順の帳簿やタバコの葉、機械などの資料約200点を展示されています。
たばこと塩の博物館HPより。ここでは、「たばこ文化のふるさと」「たばこ文化の伝播」「たばこ文化の広がり」「江戸時代のたばこ文化」「明治以降のたばこ文化」「トピックス」の各項目で、たばこの歴史と文化を紹介している。
JTウェブサイトより。ここでは、たばこの歴史・文化を「日本の歴史」「世界の歴史」および「ことわざ&川柳」「浮世絵」「歌舞伎」「落語」などの項目で紹介している。
東京都墨田区横網に所在。トップページの「目的別利用案内」から「収蔵品検索」をクリックし、キーワードに「煙草」「たばこ」「タバコ」などと入力して収蔵品を探すことができる。
参考文献
- ジョーダン・グッドマン 著,和田光弘 [ほか]訳,平凡社
- 上野堅實 著,大修館書店
- 「タバコ(煙草)」の項
- 「タバコ」の項
- 「タバコ【煙草】」の項
- 「タバコ【煙草・烟草・莨】」の項
- サンプルページ「受動喫煙」の項
- 「ひとのときを、想う。JT」より。