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蒔絵

金銀などの細かい粒子を使い、漆器の表面に装飾をほどこす日本を代表する漆芸技法

漆工芸の加飾技法の一種。金や銀などの細かい粒子を使い、漆器の表面に装飾をほどこす技法。蒔絵の源流は奈良時代にまでさかのぼり、正倉院宝物の8世紀の刀の鞘の装飾に「末金鏤(まっきんる)」と呼ばれる蒔絵の原初的な形が見られる。平安時代には、貴族社会の間で蒔絵が流行し、建築・家具・調度品・仏具などの装飾に使われた。「蒔絵」という語は、平安時代の物語『竹取物語』に現れるのが最古といわれる。

鎌倉時代には、蒔絵の基本技法が出そろう。鎌倉時代から室町時代にかけて武士社会にも蒔絵が流行し、とりわけ東山文化を形成した足利義政(あしかがよしまさ)の周辺で、格調高い名物ものがつくられた。桃山時代には、高台寺の霊屋(おたまや)の装飾に用いられ、平蒔絵(ひらまきえ)で秋草などを描く「高台寺蒔絵」が盛行する。一方、スペイン・ポルトガルの船で来日した宣教師や商人の依頼を受け、輸出用の華やかな南蛮漆器が制作された。

江戸時代に入ると、将軍や大名がお抱えの蒔絵師に豪華絢爛な道具類を作らせるとともに、経済力をもった商人も町の蒔絵師に趣向を凝らしたさまざまな意匠を注文したことにより、蒔絵の技法は発展を遂げた。また、琳派(りんぱ)の本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)や尾形光琳(おがたこうりん)による、斬新な意匠と新たな技法を駆使した芸術的な名品も残されている。

明治維新によって、蒔絵師は幕府や大名の庇護を失うが、明治政府の殖産興業政策の下、ヨーロッパ各国で開催された博覧会において漆器は日本を代表する精巧な工芸品として高い評価を受ける。現代も、京都、金沢、東京などを中心に伝統的な技法による蒔絵の技法が受け継がれている。

奈良
平安
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南北朝・室町
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江戸
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奈良
正倉院宝物に原初的な蒔絵「末金鏤(まっきんる)」が見られる。このことから、8世紀後半には既に日本には蒔絵の技法があったと分かる。

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  • 世界文化遺産・国宝。平安時代末期に創建した阿弥陀堂。内部に蒔絵・螺鈿の装飾がほどこされた、平安美術工芸の粋を極める建造物。

  • 尾張徳川家伝来の大名道具を収蔵・展示。「名品コレクション展示室」では、蒔絵をほどこした武具や婚礼調度品を展示している。高度な蒔絵技術を尽くして制作された国宝「初音の調度」は大名婚礼道具の最高峰として知られる。

  • 常時全室で漆芸品を展示する漆芸専門美術館。年間を通じて、漆芸に関するさまざまな切り口の企画展が開催される。常設展では輪島塗の歴史と文化を紹介。館内では、漆器の製作工程や漆芸作家の作品を紹介するビデオを鑑賞できるほか、充実した漆芸・美術関連図書が閲覧可能。  

  • 石川県内の伝統的工芸品全36品目をすべて展示する施設。輪島塗、山中漆器、金沢漆器が展示されている常設展示のほか、伝統工芸の「いま」を紹介するさまざまな企画展を随時開催。

  • 高台寺と関連寺院に伝わる宝物を中心に展示。重要文化財に指定された桃山時代の高台寺蒔絵の調度品を所蔵。

  • 国立国会図書館は、国会に属する唯一の国立の図書館です。国内外の資料・情報を広く収集・保存して、知識・文化の基盤となり、国会の活動を補佐するとともに、行政・司法及び国民に図書館サービスを提供しています。                                             

  • 日本と東洋の文化財を守り伝える中心拠点としての役割を担う我が国の総合的な博物館です。

  • 平安時代から江戸時代の京都文化を中心とした文化財を取り扱う地域に根ざした博物館です。

  • 仏教美術及び奈良を中心として守り伝えられてきた文化財を取り扱う博物館です。

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  • 江戸時代の蒔絵の名工の作品を紹介するほか、蒔絵概略史、蒔絵用語辞典も掲載。漆工研究家・高尾曜氏が運営。

  • 「名品ギャラリー」「コレクションデータベース」からサントリー美術館が所蔵している蒔絵作品を閲覧できる。

参考文献

  1. 中央公論社
  2. 中央公論社
  3. 中央公論社
  4. 灰野昭郎 執筆,新潮社
  5. 加藤寛 監修,東京美術