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【国宝】観楓図屏風 / ColBase(東京国立博物館蔵)

日本の秋

季語で見る日本の秋を代表する風物

現代では慣習的に9~11月を「秋」と呼んでいるが、季語(俳諧や俳句で季節を象徴的に表す言葉)の分類においては、旧暦の二十四節気にもとづき、立秋(新暦8月7日頃)から立冬(新暦11月7日頃)の前日までを「秋」としている。そのため、旧暦7月(新暦8月)の七夕や旧暦8月(新暦9月)のお盆などは、俳句の世界では秋の季語とされる。その他、秋にはススキや秋の草花を飾り月を祭る十五夜、「菊の節句」とも呼ばれる重陽の節句、野山や寺社仏閣へ出向き紅葉を観賞する紅葉狩りなど、自然の恵みを享受する風情ある行事が多くある。また、日本の秋を代表する景観の一つに、一面に稲穂が実る田園風景が挙げられるだろう。「稲」「稲刈り」「稲束」「稲の波」などは、豊かな実りを感じさせる秋の季語であり、「稲つけて馬が行くなり稲の中」(正岡子規)、「一里行けば一里吹くなり稲の風」(夏目漱石)など多くの俳人が秋の田園風景を句に詠んでいる。

秋の行事・風俗

中国の神話に起源を持つ星祭で、女性が技芸上達を願う。

祖先の霊を供養する仏教行事。8月13日~15日(旧暦の7月13日~15日)に祖先の霊を慰める。

陰暦8月15日、中秋の名月のもとに宴を催し、豊作を祈願する月見行事

旧暦9月9日の節句。「菊の節句」とも呼ばれる中国由来の年中行事

日本では縄文時代の終わりに稲作が始まったとされる。弥生時代以後は農耕文化の基盤となり、日本の習俗とも深く結びついてきた。

紅葉(こうよう)を鑑賞する意で、能の曲目などとしても有名

土俵の上で力士同士が組み合って戦う日本古来の個人競技。その歴史は古く、古墳時代に力士の埴輪が作られ、奈良時代には宮中の農耕儀礼として行われ、江戸時代に隆盛をみた。

秋の植物

ヒルガオ科の一年草。園芸で人気の花で、江戸時代には盛んに品評会が開かれた。

バラ科の落葉樹。美味しい果実、節句に飾る花として日本人に親しまれてきた

キキョウ科の多年草。秋の七草の一つ。8~9月ごろに青紫色の釣鐘形の花が咲く。家紋の「桔梗紋」は桔梗の花・葉・茎の形が図案化されたもの。本図は、葛飾北斎筆「桔梗にとんぼ」。「桔梗活けてしばらく仮の書斎哉/正岡子規」などの句に詠まれている。

日本の代表的な花。皇室の紋章に使用され、日本の国花ともされている

ブドウ科の落葉性つる植物。初夏に黄緑色の小花が咲き、秋に房状の実が垂れ下がる。日本にはヤマブドウなどの野生種があり、栽培種としては、ヨーロッパ種とアメリカ種が主である。「黒きまで紫深き葡萄かな/正岡子規」などの句が詠まれている。

「春の七草」と「秋の七草」があり、それぞれの季節を代表する七種類の草花

マツタケ目キシメジ科の食用キノコ。旬は10月。香り高く美味なためさまざまな料理に活用され、秋の味覚を代表する食材。栽培方法が確立されておらず、すべて天然もの。「松茸や知らぬ木の葉のへばり付く/松尾芭蕉」などの句に詠まれている。            

イネ科の多年草。別名「尾花」とも呼ばれ、十五夜のお月見に飾られる。『万葉集』中の山上憶良の歌に詠まれており、秋の七草のひとつに数えられる。「山は暮て野は黄昏の薄哉/与謝蕪村」などの句に詠まれている。

バラ科の落葉高木。日本における西洋リンゴの栽培は、明治時代に本格的に導入された。4~5月ごろに花が咲き、8~11月ごろに実を結ぶ。「もぎたての林檎手で拭きぬ子の儀式/加藤楸邨」などの句に詠まれている。

カキノキ科の落葉高木。古くから栽培され、食用の果実をはじめ用途が多く、暮しを支えた

植物の緑葉が紅色に変わる現象。また、その紅色になった葉

秋の動物

カマキリ科の昆虫の総称。緑色または褐色で、前脚が鎌状に曲がり、他の昆虫を捕獲する。「かまきりのゆらゆら上る芒哉/正岡子規」などの句に詠まれている。本資料は、永樂保全作「色絵月に蟷螂文茶碗」。

エンマコオロギ、ツヅレサセコオロギなど、バッタ目コオロギ科に属する昆虫の総称。雄は夏から秋にかけて鳴く。「蟋蟀が深き地中を覗き込む/山口誓子」などの句に詠まれている。本図は、初代歌川広重筆「秋海棠にこおろぎ」。

トンボ目の昆虫の総称。頭部に大きな複眼、透明の羽をもつ。日本には、オニヤンマ、イトトンボ、シオカラトンボなど約200種類が分布。「とどまればあたりにふゆる蜻蛉かな/中村汀女」などの句に詠まれている。本資料は、江戸中期の「蝶蜻蛉尽葵紋蒔絵蝶形兜」。

日本に冬に飛来する渡り鳥。美味なことから、古くから食用とされた

ペリカン目トキ科の鳥。明治時代に羽毛を取るために乱獲されて激減し、絶滅危惧種に指定されている。特別天然記念物。

多産で知られる、身近な狩猟動物。明治期には紙幣にも描かれた

偶蹄目シカ科の動物。日本国内では北海道から沖縄まで分布する。

キジ目キジ科の鳥。体長約20センチ。日本で古くから親しまれ、『万葉集』の歌にも詠まれている。江戸時代には飼育している鶉の鳴き声の優劣を競う「鶉合せ」が流行した。「夕さればのべの秋風身にしみてうづらなくなりふか草の里/藤原俊成」などの句に詠まれている。本図は、土佐光起、土佐光成筆「秋郊鳴鶉図」。

セキレイ科に属する鳥の総称。全長20センチ前後で、水辺にすむ。長い尾を上下に振って歩く様子が尾で地面を叩いているように見えることから「石たたき」とも呼ばれる。「鶺鴒がたたいて見たる南瓜かな/小林一茶」などの句に詠まれている。本図は室町時代の作品で、狩野派の画家によるものと見られる。

秋の魚貝

マイワシ・ウルメイワシ・カタクチイワシなどの海水魚の総称。一般的にはマイワシを指す。稚魚はしらす。日本での漁獲量が多く、日本の水産上重要な種。「鰯やく煙とおもへ軒の煤/室生犀星」などの歌に詠まれている。

スズキ目スズキ科の海水魚。貝塚などから骨が出土しているため、古代から盛んに利用されてきたと見られる。成長により名称が変わる出世魚である。「籠あけて雜魚にまじりし鱸哉/正岡子規」などの句に詠まれている。

サンマ科の魚。秋の味覚を代表する魚の一つ。太平洋北部に広く生息し、日本では北海道と東北地方海域を中心に水揚げされる。「夕空の土星に秋刀魚焼く匂ひ/川端茅舎」などの句に詠まれている。

スズキ目ハゼ亜目に属する魚類の総称。日本ではマハゼ、ハゼクチなど約150種のハゼが知られている。秋の彼岸頃に獲れるマハゼを「彼岸ハゼ」と呼ぶ。「鯊釣の小舟漕ぐなる窓の前/与謝蕪村」などの句に詠まれている。

古代より日本の食文化を支え、親しまれる魚

食用としても釣魚としても人気の高い、コイ科の淡水魚

参考文献

  1. 『世界大百科事典』(japanknowledge)
  2. 『日本大百科全書』(japanknowledge)
  3. 『国史大事典』(japanknowledge)
  4. 『日本の歳時記』コロナ・ブックス編集部 編,平凡社 
  5. JapanKnowledge所収コンテンツの最終アクセス日は、いずれも2021/12/20