ヘルンの心~西田千太郎への手紙~
島根大学附属図書館など関係機関が所蔵するラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の手紙を紹介します。
このギャラリーについて
ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は、『知られぬ日本の面影』、『怪談』などの作品で海外に日本を紹介した作家としてよく知られています。
ハーンは、1890(明治23)年、来日と同時に通信社の職を失い、生活のため、40歳で人生で初めての教職に就きました。新聞記者としての経験や、独学で培った豊かな知識に加え、赴任先の松江での純朴で誠実な人々との交流の中で、ハーンは教師としての才能を発揮します。当時の生徒からはヘルン先生と慕われたと言われています。
そのハーンの松江における生活を、公私両面で支えた人物として知られているのが、西田千太郎です。ハーンの赴任先である島根県尋常中学校の教頭心得(のちに校長心得)だった人物で、出会った当時27歳でした。病弱でしたが、誠実な人柄で教育界での人望も厚かったと言われており、地元松江市では近年その功績を顕彰する動きも再び出てきています。
このギャラリーでは、島根大学附属図書館で開催する企画展にあわせ、関係機関(島根大学附属図書館、広島大学図書館)が所蔵するハーンの手紙(書簡)を紹介します。これらの手紙からは西田への深い尊敬とともに、ハーンの教育者としての姿勢も伝わってきます。また、日本の生活で感じたハーンの気持ちが率直に記されている点も特徴です。一方、西田からの手紙はそれほど多く残っていませんが、松江市立中央図書館が保管している2通のハーン宛の手紙もあわせて紹介しています(今回のギャラリー公開にあわせ、高精細画像を当館のデジタルアーカイブで公開しています)。
※画面右上の言語切替メニューで、解説文の他、書簡については日本語訳・元の英文の切り替えができます。
※Using the language menu in the upper-right corner of the screen, you can switch between the Japanese translation and the original English text for the letters and the explanatory text.
<謝辞>
手紙の日本語訳は、常松正雄氏(島根大学名誉教授)によるもので、原則として『ラフカディオ・ハーン 西田千太郎 往復書簡』(八雲会、2020年)の収録テキストを使用しています。また、広島大学図書館様、松江市立中央図書館様にも所蔵資料のデジタル画像公開にご協力いただきました。常松様はじめ、ご協力いただいた関係者・機関の皆様に厚くお礼申し上げます。
なお、島根大学所蔵の手紙については、当館HPの特設ページにおいて、英文及び日本語訳テキストが閲覧できます。そちらもぜひご覧ください。
ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の手紙
ハーンが暮らした場所ごとに、主にハーンが西田に宛てて送った手紙を紹介しています。
※下のタブをクリックすると、説明と手紙が表示されます。
1.松江時代 : 西田千太郎との出会い
1890(明治 23) 年、ハーンはアメリカの通信社の特派員として来日を果たしますが、直後にその仕事を失いました。東京帝国大学教授のチェンバレンに仕事の斡旋を頼み、生活のために得た職は、島根県にある松江という田舎の中学校の英語教師でした。
1890(明治24)年7月、松江の島根県尋常中学校及び尋常師範学校の教師となる契約を結んだハーンは、同年8月30日、汽船で松江に到着しました。その後しばらく滞在することになる材木町(現在の松江市末次本町)の冨田旅館に着いたハーンは、その日のうちに西田千太郎とも初めて顔を合わせます。
尋常中学校の教頭心得であった西田千太郎は、慣れない土地の生活に戸惑うことも多かったであろう外国人教師ハーンを公私にわたり支えました。その誠実な人柄から、あらゆる面でハーンが最も敬愛し信頼した人物だとされ、残された手紙からもそのことが十分伝わってきます。
西田が病弱であったこともあってか、西田がハーンに送った手紙は多く残されていませんが、西田が残した日記(西田千太郎日記)にもハーンに関する事柄が多く書き留められており、二人の親交の深さがうかがえます。
生まれて初めて教壇に立ったハーンでしたが、教師経験がないのがかえって幸いし、独自の授業方法で生徒たちから尊敬を集めました。西洋を模倣した教育、教科書丸暗記といった授業方法を排除し、情緒や想像力を大事にするために、会話や英作文、聞き取りなど実践する授業を熱心に行いました。また、いつも生徒たちの健康や十分とはいえない食生活を心配し、深い愛情と信頼関係を大事にする優れた教師でした。
作家としてではなく、教育者としてのラフカディオ・ハーンに焦点をあてた図書も多数出版されています。興味のある方はぜひ読んでみてください。島根大学附属図書館でも『教育者ラフカディオ・ハーンの世界』(ワンライン、2006.11)を発行しています。
松江時代のハーンの手紙
広島大学図書館 ※英語全文及び日本語訳は出典サイトで閲覧できます。
広島大学図書館 ※英語全文及び日本語訳は出典サイトで閲覧できます。
特設ページのご案内
このギャラリーで紹介した画像、英文、日本語訳は全て島根大学附属図書館が公開している特設ページでも閲覧いただけます。書簡のみを一覧形式でご覧になりたい場合は、こちらもご利用ください。
■小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)自筆書簡 画像とテキスト
https://da.lib.shimane-u.ac.jp/virtual-exhibition/hearnletters/index.html
関連リンク(小泉八雲関連資料の画像公開サイト)
■島根大学附属図書館デジタルアーカイブ
https://da.lib.shimane-u.ac.jp/content/ja
■広島大学図書館デジタルアーカイブ
https://dc.lib.hiroshima-u.ac.jp/da/ja
■松江市立図書館(小泉八雲直筆原稿・書簡等)
https://www.lib-citymatsue.jp/contents/?page_id=22154
■富山大学附属図書館(ヘルン文庫)
https://www.lib.u-toyama.ac.jp/chuo/hearn/hearn_index.html
■小泉八雲記念館(収蔵品)
島根大学附属図書館作成のギャラリー
島根大学附属図書館で作成したJAPAN SEARCH上のギャラリーです(2025年10月時点)。こちらもぜひご覧ください。
■桑原羊次郎の欧米美術行脚~日英博覧会を中心に~
https://jpsearch.go.jp/gallery/libshimane_u-wkl7RdnDJw
■桑原文庫「展覧会目録」の世界
