源氏物語大意
江戸時代の国学者*である和田祖能(わだそのう、1747?~没年未詳)が文政12年夏に源氏物語の登場人物を詠んだ和歌を石山へ奉納、その和歌に天野直方(あまのなおかた、生没年不明)が評注を加え、さらに祖能の源氏物語評論を付して、文政13年に刊行したもの。上下2巻で、上巻は人物和歌とそれに対する評釈および人物評論、下巻は祖能の源氏物語評論をおさめる。「付言」によれば、祖能は三条西実隆(さんじょうにしさねたか、1455~1537)が天文2年に源氏物語の巻々の和歌を石山寺に奉納したのにならったという。室町から江戸期にかけての源氏物語受容の継承、さらに江戸時代の源氏物語鑑賞の一態度をうかがいうる資料として注目すべきものである。
広島大学図書館蔵本(国文N3494)文政13年5月に刊行された版本で、2巻2冊本。弄花軒社中蔵版。
*国学者とは…江戸時代中期に、日本の古典を文献学的に研究し、日本固有の文化を究明しようとする学問として「国学」が起こった。国学者は、国学を研究する学者をいう。
【参考】
高谷美恵子・藤河家利昭校『源氏物語大意(広島大学蔵)』「翻刻平安文学資料稿」第2巻(1968年、広島平安文学研究会)
伊井春樹編『源氏物語注釈書・享受史事典』(2001年、東京堂出版)