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伊勢物語紹巴抄 昌琢注増補本

『伊勢物語紹巴抄』は、戦国・安土桃山時代の連歌師*である里村紹巴(さとむらじょうは 1524~1602)による伊勢物語注釈書。紹巴の伊勢物語注釈は8種が知られているが、広島大学図書館蔵本(大国2655)は、このうち「伊勢物語私抄」の増補本である。「伊勢物語私抄」に対する増補は、紹巴に師事した江戸時代前期の連歌師・猪苗代兼如(いなわしろけんにょ ?~1609)、紹巴女の嫡男である江戸時代前期の連歌師・里村昌琢(さとむらしょうたく 1574~1636)のものが知られているが、両者の増補は多くが重複しない。後者の増補を示す広島大学蔵本は、里村家の伊勢物語理解を示す好資料と考えられる。

広島大学図書館蔵本(大国2655)伊勢物語初段から第65段中途までの零冊。分量的には伊勢物語のほぼ半分にあたるため、もと上下2冊であったものの上冊のみの部分かと見られるが、上冊の巻末数丁が失われた可能性も想定される。書写者、書写年は不明。幕末から明治期の漢学者・伊藤介夫の旧蔵本。


*連歌師とは…連歌に巧みな人。連歌を職業とする人。連歌は、五・七・五の上句と七・七の下句を交互によんでゆく形の詩歌で、室町期に最盛期を迎えた。


【参考】

江波曜子・片桐まい校『伊勢物語 紹巴抄(昌琢注増補本・広島大学蔵)』「翻刻平安文学資料稿」第3期別巻10(2016年、広島平安文学研究会)



(解説執筆)※所属は2026年10月時点のものです

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