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源氏物語桐壺巻の講釈を聞書*したもので、広島大学図書館蔵本(国文4647)のほかに類本は知られない。桐壺巻のみの講釈であったのか、他巻も存した中で桐壺のみが広島大学に伝わったのか、判然としない。万治3年版「絵入源氏物語」を親本として書写した本文の冒頭に料簡を置き、行間に聞書注を付したもの。料簡および注の一部に中世源氏学を引き継ぎつつ、注記の大半は俗語をも含めた近世的な読みを伝えており、近世における源氏物語享受の一実態を如実にうかがわせる資料である。

広島大学図書館蔵本(国文4647)外題「きりつほ」、内題「源氏物語聞書」とする写本1冊。元禄16年5月岸上権大夫光武書写の奥書を有するが、当該の人物については未詳であり、伝来も不明。


*聞書とは…現代でいうところの講義ノート。講釈を聞いた者(多くは弟子)が師の説の内容をまとめ、師がそれを点検した。


【参考】

小川陽子・新居和美校『源氏物語聞書 きりつぼ(広島大学蔵)』「翻刻平安文学資料稿」第3期別巻7(2007年、広島平安文学研究会)