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富嶽三十六景 富士山と自然と人

葛飾北斎が描いた富士山と自然と人の浮世絵です。

〈館長の挨拶〉

 本日はこの博物館にお越しいただき、誠にありがとうございます。

私は日本で生まれ、日本で育ったので、みなさんに日本の芸術作品についてより知ってもらいたいと思いました。そこで、日本独自の美術作品である浮世絵をテーマにしようと考えました。

 浮世絵とはどのようなものかというと、簡単に言えば版画です。まず、浮世絵にしたい絵を描き、その作品の形に合わせて板を彫ります。そして、そこに色をつけ、何枚も重ねて刷っていきます。そうして一つの作品が完成します。

 有名な作品には、東海道五十三次や富嶽三十六景など、さまざまなものがあります。

 この博物館がきっかけで日本の芸術の浮世絵に興味を持っていただけることを心から願っています。

〈この展示について〉

今回は自然が雄大に描かれた富嶽三十六景にしました。

この展示では、富嶽三十六景の中でも、人々の暮らしと自然が描かれている作品を選びました。

特に、波や風、雪などの自然が力強く表現されている作品です。

富嶽三十六景に描かれている自然の雄大さと、そこに生きる人々の暮らしの姿というポイントに注目して、ぜひご鑑賞ください。

富嶽三十六景

神奈川沖浪裏は、とても大きな波がえがかれている作品です。今にも船がのみこまれそうな波に、人々が必死に立ち向かっている様子が伝わってきます。 また、波の形は黄金比が使われていてきれいに見えます。手前の大きな波と、遠くの小さな富士山には遠近法が使われていて、奥行きも感じられるところがよい点です。
甲州山坂水面では、水面に映った富士山に雪が積もっており、夏の景色の中に冬の富士山を同時にえがくという発想がとても面白い作品です。 また、自然の中にひっそりとたたずむ集落から、そこに人々が暮らしていることが伝わってきます。さらに、様々な木や植物がえがかれていて、美しいです。
駿州江尻では、曇った空や、輪郭が途切れ途切れに見える富士山によって、悪天候の様子が表されています。 また、木の葉や人の紙、傘が風に飛ばされている様子から、強い風が吹いていることが伝わってきます。さらに、奥の茂みを緑色でぼかすことで、どこまでも続いているように見え、とてもきれいな表現になっています。
礫川雪ノ旦は、雪の白、植物の緑、建物の黄色、夕日のオレンジが組み合わさり、とても美しい色合いの作品です。 雪が積もった建物の中では、人々が会話をしたり、ご飯を食べたりしていて、あたたかく楽しそうな様子が伝わってきます。さらに、富士山には白く細い霧がかかり、神秘的で美しい景色になっています。
凱風快晴は、秋の初めの少し寒くなった頃の富士山をえがいた作品です。峰やてっぺんには雪が積もっていて、季節の変化を感じさせます。 いびつなうろこ雲のすき間から見える青い空の形が一つずつ違うところも面白い表現です。また、単純な形の木を何度もえがくことで、うっそうとした森を表しています。 さらに、富士山の赤色と空の青色のはっきりした色の対比によって、富士山がより大きく見えるように工夫されているところがよいです。

〈展示を見終わった人へのメッセージ〉

本日はこの博物館の展示をご覧いただき、ありがとうございました。

今回の展示をきっかけに、少しでも浮世絵に興味を持っていただければうれしいです。

また、「富嶽三十六景」は36枚ではなく実は46枚あります。

興味を持たれたら富嶽三十六景の他の作品もぜひ調べてみてください。

またのご来館お待ちしております。

〈展示関連のイベントについて〉

「北斎 富嶽三十六景 井内コレクションより」

国立西洋美術館  2026年 3月28日〜6月14日まで

9:30~17:30(金・土曜日は~20:00)

https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2026hokusai.html