解説
入念に造った大袖付の胴丸具足である。胴は撓革(いためがわ)の本小札(以下、革小札と記す)を主体に全段の要所に鉄小札を交え、下半部の長側(ながかわ)を一続きに廻らして右脇で引き合わせる胴丸仕立とし、七間五段の草摺(くさずり)は革小札を用いる。構成は具足通有の前立挙(たてあげ)三段、後立挙四段、長側五段で胴丸より各一段多い。胴の威毛(おどしげ)は胴・草摺共に紫糸地の裾を白糸とし、大袖など札拵(さねこしら)えの他の部分も同じである。肩上(わたがみ)や金具廻は雁木篠(がんぎしの)に造り、梨子地に加飾する。兜は精緻な金物で飾った六十二間総覆輪筋鉢、金銅の鍬形を立て、鉄切付(きっつけ)札五段の𩊱(しころ)を垂らす。小具足は臑当を欠くが、目の下頬当、瓢(ふくべ)籠手、革小札の威佩盾(おどしはいだて)が附属する。この胴丸具足で特に目に付くのは「丸に十文字」紋の顕示である。胴・大袖の金具廻と兜の吹返(ふきかえし)に実に計30個を金蒔絵で描き、籠手を含めた金物類にも49個を彫り上げている。同紋は島津氏の家紋として知られ、本品も島津家一門の伝来とみて大過あるまい。
収録されているデータベース
東京富士美術館収蔵品データベース
日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど様々なジャンルの作品約30,000点の内、約2,000点を掲載。
最終更新日
2026/01/09