解説
巴水は、大正11年(1922)に行った九州旅行の成果を、「日本風景選集」として出版し、《天草より見たる温泉ケ嶽》(大正11年)という作品を発表した。この天草の風景は、巴水の心に印象深く残ったのだろう。本作は15年後の昭和12年(1937)に、その作品をもとに、雲仙の眺望をよりクローズアップして再制作したものである。荷を背にした馬と馬子が、交互に編み込まれた網代文様のように美しい畑のあぜ道を歩く。遠景には島原半島の雲仙岳が悠然と聳えている。前面に広がる海には、白い帆を張った1隻の船が行き過ぎる。この海は、島原湾(有明海)の入口に位置する早崎瀬戸と呼ばれる海峡で、湾に出入する船の通り道となっている。陸の道をゆく馬と馬子、海の道をゆく帆かけ舟が、画面の中でシンクロしているようで面白い。
収録されているデータベース
東京富士美術館収蔵品データベース
日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど様々なジャンルの作品約30,000点の内、約2,000点を掲載。
最終更新日
2026/01/09