解説
静岡県富士市西部を流れる富士川河岸から眺めた富士山が描かれている。現在の富士川サービスエリアあたりであろう。画面手前には、柔らかい光を反射しながら悠然と流れる富士川が、そして画面奥には堂々とした富士の泰然自若とした姿が描き出されている。中景の左側から延びる緑の丘は梅や桜の名所として有名な岩本山で、山頂には雄大な富士を眼前に仰ぐことができる岩本山公園がある。この「富士川」には2種類の擦りがあり、本図とは別のバージョンでは、雲を従え、赤く照らされた富士の姿が描かれる。印象派の画家クロード・モネ(1840-1926)が《積みわら》や《ルーアン大聖堂》で試みたように、巴水はたびたび、全く同じモチーフと構図で、いくつかの色や版木を変更することによって、移ろいゆく時間の経過を、異なる大気、異なる光の効果によって連作として描き出したのである。
収録されているデータベース
東京富士美術館収蔵品データベース
日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど様々なジャンルの作品約30,000点の内、約2,000点を掲載。
最終更新日
2026/01/09