駿河由比町(「東海道風景選集」より) Yui, Suruga, from the Series "Selection of Views of the Tokaido"するがゆいちょう とうかいどうふうけいせんしゅう より
解説
「駿河由比町」は、昭和6年(1931)から同22年(1947)にかけて制作された「東海道風景選集」シリーズ26枚のうちの一枚。由比は現在の静岡市清水区に位置する。本図に描かれているのは、東海道五十三次の16番目の宿場として知られる由比宿である。街道沿いに立ち並ぶ家屋には、江戸時代の宿場町の面影が感じられる。遠景には赤く染まり始めた空を背景に、雪化粧の富士山が堂々とした姿で描き出されている。この由比宿から次の興津宿へ向かう道中の薩埵峠(さったとうげ)は、東海道最大の難所の一つであるとともに、富士を眺める絶景スポットとしても知られている。由比を描いた作品としては、歌川広重の「東海道五拾三次」が知られるが、広重は由比を描く際に険しい薩埵峠からの富士の眺望をモチーフとした。巴水は、本図で由比を描くにあたって、有名な薩埵峠ではなく、由比の宿場町の風景を選択した。富士を背景にした情趣ある町並みが清澄な空気とともに巧みに表現されており、「旅情詩人」と呼ばれた巴水らしさが画面に溢れている。
収録されているデータベース
東京富士美術館収蔵品データベース
日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど様々なジャンルの作品約30,000点の内、約2,000点を掲載。
最終更新日
2026/01/09