解説
印象は昭和27年(1952)5月からの半年間、欧州各地を遊歴した。本作はその際、彼がパリを写生したスケッチを基に描かれたと考えられる。奥にのびた細い路地に街灯と街路樹のマロニエが静かに立ち、空の薄い光を浴びている。画面手前のやや幾何学的に処理された建物が横のラインを意識させると共に、街灯の柱、街路樹の幹、街路先に立つ女性が整然と並び、縦のリズムを形成している。こうした秩序だった画面構成は、この先展開される彼の抽象的画法を暗示させるかのようである。画面全体を支配する青や緑の寒色系を基調とした配色は、印象が戦後に入って描き始めた社会風俗的な絵画の一つの特徴といえ、当時の風潮を反映するかのような一種の寂寥感を漂わせている。
収録されているデータベース
東京富士美術館収蔵品データベース
日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど様々なジャンルの作品約30,000点の内、約2,000点を掲載。
最終更新日
2026/01/09