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解説

18世紀のフランスでは、太陽王と呼ばれたルイ14世の厳格で権威主義的な治世が終わり、ルイ15世の自由で開放的な時代の雰囲気へと移り変わっていく。それは美術の分野においても、「ロココ」という豊かな装飾性と優美で典雅な感覚の美術様式を生み出した。ブーシェはそのロココの精神を最も体現した画家といわれ、本作のような、牧歌的な風景のなかに男女を描いた「牧歌的田園画」は彼の得意分野であった。こちらに背を向けて座っている男の右手には紐が握られているが、それは画面右奥に仕掛けられた小鳥を捕まえる網につながっている。しかしながら男は傍らの女に気を取られているようで、網の近くでは胸の赤いヒワやコマドリなどの小鳥が自由に戯れている。これらの鳥はヨーロッパでは伝統的にキリスト教に関連して描かれる鳥であり、ルネサンス期のラファエロが描いた《ヒワの聖母》などが有名であるが、その際の聖母は、慈愛を象徴する赤色と、真実を象徴する青色の衣を着用して表される。本作は宗教画ではないが、ヒワなどの小鳥や赤と青の衣装など、キリスト教の伝統的なイメージをさりげなく取り入れることによって、鑑賞者が親近感を持つように仕向けられているのかもしれない。本作は、羊飼いの青年と若い女の、田園での甘い語らいを描いた、ブーシェの《田園の奏楽》(東京富士美術館所蔵)と対をなす作品として描かれたものである。

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収録されているデータベース

東京富士美術館収蔵品データベース

日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど様々なジャンルの作品約30,000点の内、約2,000点を掲載。

2026/01/09