解説
カリエ=べルーズは、第二帝政期のフランスを中心に活躍し、アトリエには多くの職人を抱え、当時大量に建築された建造物の屋内外の装飾を担った。中でも、室内装飾の一つとして重宝されたのが小さな彫像や胸像の類であった。彼はナポレオン3世やオノレ・ドーミエをはじめ著名な政治家や芸術家、作家といった特定の人物から、ディアナなどの象徴的な人物にいたるまで、多種多様なモデルの胸像を手がけている。本作も室内の装飾品として注文・制作されたものと推される。女性は髪から肩にかけ、多数のバラの花を飾り、花や春、また豊穣の女神として知られる「フローラ」を思わせる。顔は斜め前方を向き、女性の生き生きとした視線からは作者の確かな技量が窺える。また作品右側の肩口に「A.CARRIER 1863」と刻まれていることから、本作が1863年作だと分かる。アメリカ・マサチューセッツ州のウィリアムズ大学美術館には同様の主題で1865年頃の制作とされる大理石像が収蔵されており、本作はそのエスキースである可能性も考えられる。
収録されているデータベース
東京富士美術館収蔵品データベース
日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど様々なジャンルの作品約30,000点の内、約2,000点を掲載。
最終更新日
2026/01/09