金剛山三仙巌(「朝鮮八景」より) Samburam Rock, Kumgang Mountain, from the Series "Eight Views of Korea"こんごうさんさんせんがん ちょうせんはっけい より
解説
昭和11年(1936)から同14年(1939)頃にかけて、戦争前夜の不穏な空気が世間を覆うなか、巴水は気が落ちつかず、写生にも行き詰って変り映えのしない作品が多くなり、いわゆるスランプに陥っていた。そのような時期に、画家仲間から朝鮮旅行に誘われ、同14年(1939)6月1日から7月4日まで、朝鮮各地を旅行した。その旅行でのスケッチをもとに、制作されたのが『朝鮮八景』『続朝鮮風景』のシリーズである。この朝鮮旅行で目にした荒々しい自然の造形美、伝統的な建築物や現地の人々の生活や風俗などは、巴水の創作意欲を大いにかき立てたようである。この朝鮮旅行を転機として、巴水の作品は、それまでの緻密な描写に加えて、大胆で雄大な構図と爽やかな色彩へと変化し、魅力あふれるものとなっていく。本作のタイトルにある金剛山(クムガンサン)は、朝鮮半島東部を縦断する太白(テベク)山脈の名峰で、一万二千峰とも言われる奇岩・奇峰が連なっていることで知られる。ここには、その中でも奇岩の景勝に富む万物相(マンムルサン)地区にある三仙巌(サムソナム)の威容が描かれている。陽光を浴びる急峻な岩山が画面の半分を埋め尽くし、圧倒的な存在感を放っている。
収録されているデータベース
東京富士美術館収蔵品データベース
日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど様々なジャンルの作品約30,000点の内、約2,000点を掲載。
最終更新日
2026/01/09