解説
勝川春潮は、肉筆美人画で安永・天明・寛政期(1772-1800) にわたって人気を誇った勝川春章(1726-92) 門下の高弟である。肉筆美人画では、春潮は師風を忠実に継承しているが逆に版画では、師とはライバル関係にあった天明期の浮世絵師・鳥居清長(1664-1729)の画風を追従し、清長様式を熱心に模倣した。そのため春潮の錦絵美人画には、清長風がきわめて色濃く、庶民の間に相当な人気を博したものと想像される。この図も天明期に描いた三枚続の中の一つと考えられるが、余白をあまり残さず人物をおおぶりにとらえる表現は見事である。春潮は、一般に屋外での遊楽風景を大きくとらえる横三枚の続絵を得意としたが、背景をあっさりとまとめ、人物のたおやかな表情や、着衣の瑞々しい描写などに鑑賞者の視線を集中させる手法は、やはり清長がよく行なったもので、女性の優美さを際立たせるのに非常に大きな効果をあげている。
収録されているデータベース
東京富士美術館収蔵品データベース
日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど様々なジャンルの作品約30,000点の内、約2,000点を掲載。
最終更新日
2026/01/09