解説
ウォーホルはアメリカのポップアートの旗手として、非常に衝撃的で独創的な作品を制作した。彼は人気スターの写真や、工業製品などのデザインを主題にして、そのオリジナルのイメージを保ったまま、鑑賞者の受け止め方を変化させることで、全く「新しい」芸術作品を次々に創造する、という離れ業をやってのけたのである。このために活用された手法が、イメージを繰り返し反復して見せることであり、本作はその典型的な代表作。あるイメージが幾度となく繰り返して目の前に提示されることで、本来そのイメージに持たされていた意味や宣伝メッセージが薄れ、新しい見え方が鑑賞者の前に現れてくる。「今日のスープは用意しましたか。一日一回、毎日スープ。もちろんキャンベル・スープ」という宣伝メッセージは、ウォーホルの手による反復の過程の中で、企業の商品宣伝の意味を失い、アートとして生まれ変わってくる。この効果を実現するためにウォーホルが活用したのが、版画技法であるシルクスクリーン技法であった。ウォーホルはこの版画技法とアクリル絵の具による絵画表現をミックスして複製技術と手仕事の組み合わせによる制作を行った。「複製」と「オリジナル」がウォーホルという独創性豊かな芸術家の仕事によって結びあわされた結果、「ウォーホルのスープ缶」が誕生した、とでもいえようか。
収録されているデータベース
東京富士美術館収蔵品データベース
日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど様々なジャンルの作品約30,000点の内、約2,000点を掲載。
最終更新日
2026/01/09