解説
ポップアートの領域では今日最も有名な作家であるアメリカの画家ウォーホルは、1950年代には広告関係の仕事に従事する商業デザイナーであった。ポップアートの作家として知名度を得るようになったのは、1960年代初めからである。彼は人気映画スターのグラビア写真、マンガ、大量消費を促す広告といった大衆的な商業美術のイメージから主題をとり、そのキッチュな性格を保ったままで芸術作品に変えてしまう。そのためにウォーホルが好んで使ったのは「反復」という手段だった。彼はこう言っている「僕は退屈なものが好きだ。物が繰り返し繰り返し、いつも全く同じであることが好きなんだ」。反復のテーマとなったのは、キャンベル・スープ缶、コカ・コーラの瓶などの商品、マリリン・モンロー、エリザベス・テイラー、エルヴィス・プレスリーなどの有名人たち、事故の瞬間の映像など、いずれもテレビや映画、新聞や雑誌というような現代社会の日常を取り巻くメディアから採取されたものばかりである。彼は機械的反復が現実の力を奪い取り、そこに全く異次元の意味が生まれ、別の効果をもたらすことに強い興味を持っていた。このような図像への嗜好は、複数の画像を一度に生産することができる写真と版画のシルクスクリーン技法に結びつき、それらによって得た画像をもとに独自に「絵画化」する手法にたどりついた。本作ではアメリカの人気プロ・ゴルファーの顔が反復の題材に使われている。ウォーホルは「僕は自分をアメリカの芸術家だと思っている。アメリカが好きだし、すごいところだと思っている」と言う。彼はこの作品で、スポーツ界の英雄を20世紀の偶像として崇拝することで、自分自身の内なるアメリカを表現しているともいえるだろう。
収録されているデータベース
東京富士美術館収蔵品データベース
日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど様々なジャンルの作品約30,000点の内、約2,000点を掲載。
最終更新日
2026/01/09