解説
俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一という琳派の巨匠たちによって手がけられてきた重要画題である「風神雷神図」を抱一の高弟其一が再構成した作品。3人の巨匠が二曲の金地屏風に二神を収めたのに対し、其一は絹本の襖四面に各々を描いた。この襖絵は元々4面が表裏にくるよう仕立てられていたという。白と緑の軽やかな色彩を得た風神・雷神は、墨の滲みを使った柔らかな雲を従えて、与えられた広々とした空間を我が物顔で支配している。其一は、師である酒井抱一とともに、大らかで典雅な気風の京琳派に対して、瀟洒で機知的な近代性を併せもった「江戸琳派」を確立させた。本作では風神・雷神の二神の胴体・腕・足の凹凸を表す描線や目玉の周囲にわずかな陰影を施し、立体性をより強調しているのが見て取れ、他の3巨匠にはないリアリティへの追求が窺える。落款には「為三堂」「噲々」の印、「祝琳斎其一」の署名がなされており、抱一の死後、其一独自の作風を確立しゆく30代半ばから40代後半の充溢した時代の作と考えられる。
収録されているデータベース
東京富士美術館収蔵品データベース
日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど様々なジャンルの作品約30,000点の内、約2,000点を掲載。
最終更新日
2026/01/09