解説
各務支考〈かがみしこう・1665-1731〉は、江戸時代中期の俳人。美濃国に生まれる。獅子庵・野盤子・東花坊・西花坊・見龍・蓮二・梅花仏・渡辺狂・自狂など数多くの号を持つ。はじめ、美濃の大智寺の僧であったが、10年ほどで下山し、還俗して支考と称した。俳人岩田涼菟〈いわたりょうと・1661-1717〉に認められ、元禄3年〈1690〉には松尾芭蕉〈まつおばしょう・1644-94〉の門下となり、その俳風を学んだ。芭蕉の臨終間近、伊賀から大坂まで同行し、遺言の代筆もしている。芭蕉没後は、蕉風と自分自身の俳風である美濃風の流布に努めた。著書は多く、『葛の松原』『笈日記』などがある。この書状には、連句が三句まで詠まれている。四句目を誰かに廻して連句を完成させておくようにと、白風(俳人仲間)に送ったもの。俳人支考の人間関係を窺う興味深い手紙である。「先刻、佐十殿迄の御手紙、委細相い心得申し候。御脇(脇句)の義、始めのまゝにて然るべく候半と、策非(俳人。昨非と同一人物か)丈、第三(句)出来申し候。/鵜の罪も忘れむ雪の長良川/紙子(和紙仕立ての衣料)の裾を吹かえす風/若役に宿とる者を走らせて/四句目、何方へ成とも遣わさるべく候。晩来(夜間)、貴面に申し達すべく候。以上。二十二日白風丈支考」
収録されているデータベース
Keio Object Hub
慶應義塾には、160年を越える歴史の中で集積された多様な領域にわたる文化財コレクションがあります。これらのコレクションは、図書館、研究所にとどまらず、学部や一貫教育校など学内のさまざまな場所で収蔵・活用され、専門性を反映した豊かなコレクション・データベースが編まれてきました。 Keio Object Hubは、これらのデータベースを連携させ、展覧会や講演会など、学内で展開する文化関連活動と結びつけ...
最終更新日
2022/07/03