解説
平安時代後期に盛行した猿楽(物まねなどの滑稽芸を中心とした芸能)から発展した狂言は、室町初期以来、能の演目の合間に上演された、滑稽・風刺を旨とした対話劇である。江戸初期から台本がほぼ固定し、現在に伝わる約200曲が保存伝承された。この巻物は、「懐中聟」「連歌盗人」「あく太郎」「雁盗人」「朝比奈」「墨塗」「髭櫓」「粟田口」「狐塚」の9曲の主要場面を描き、曲名と台詞の一部を書き添える。演者の動作が的確にとらえられ、顔貌や衣装などもきわめて細密に描かれており、芸能史の資料としての価値も高い。台詞の筆跡は、当時の奈良絵本の詞書にみえる書風と共通する、手慣れた和様の書である。画は、土佐派の絵師によるものであろう。
収録されているデータベース
Keio Object Hub
慶應義塾には、160年を越える歴史の中で集積された多様な領域にわたる文化財コレクションがあります。これらのコレクションは、図書館、研究所にとどまらず、学部や一貫教育校など学内のさまざまな場所で収蔵・活用され、専門性を反映した豊かなコレクション・データベースが編まれてきました。 Keio Object Hubは、これらのデータベースを連携させ、展覧会や講演会など、学内で展開する文化関連活動と結びつけ...
最終更新日
2022/09/07