解説
大きく開く口縁部と下膨れの胴部をもつ堂々とした壺です。口縁部には凹線文【おうせんもん】と棒状浮文【ぼうじょうふもん】が施され、肩部には山形文と列点文が刻まれます。この洗練されたプロポーションと赤色顔料で巧みに塗り分けられた色彩の対比とがうまく調和し、壺の美しさを引き立てています。
この土器は、貯蔵用の壺です。本格的な水田稲作が始まる弥生時代になると、人々の食生活は米を中心にしたものに変わり、土器にも変化が起こりました。煮炊きをする甕(かめ)、貯蔵のための壺、盛り付け用の鉢や高坏(たかつき)といった用途別の器が生まれたのです。
この壺は、伊勢湾岸地域に流行した、弥生時代後期を代表するものです。大きく広い口に、胴の部分は下膨れの形をした堂々とした壺です。白みを帯びた土器の表面は、赤い彩色によって塗り分けられています。壺の肩には、ヘラで山形の文様や連続した点を打ったような文様がほどこされています。やわらかく洗練された形と文様、そして彩色がうまく調和し、壺の美しさを引き立てています。このことから、ギリシャのクノッソス宮殿から出土した土器の優美さにも匹敵するとして、パレススタイル(宮廷様式)ともいわれています。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/06/29