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小袖 白黒紅染分綸子地熨斗藤模様 Kimono (Kosode) with Noshi Strips and Wisteriasこそで しろくろべにそめわけりんずじのしふじもよう

解説

白・黒紅・紅などの地色に綸子を染め、刺繍や金の摺箔によって小袖の表面を敷き詰めたように細かく施した模様は、江戸時代初期に武家の女性が好んだデザインで、「地無し」と呼ぶ。斬新な形の染分も、この時代の特色である。


小袖とは、袖口の開きが狭いという意味から来る名称で、今の着物の原型です。地の色はちょっと茶色っぽく見えますが、紅色を下地にして黒く染めた「黒紅(くろべに)」という色です。黒紅と白に地色を染め分けたところに、ゆるくカーブしたストライプ状の熨斗(のし)模様があらわされています。赤く見える部分は、小花模様が刺繍されており、その間の部分には霞、菊唐草、そして麻の葉の模様が金箔であらわされています。今は消えかかっていますが、黒い地の色がみえる部分は、もともとは金箔ですき間なく霞が表現されていました。このように余白のないデザインは、江戸時代初期に武家の女性が好み、「地無(じなし)」と呼ばれました。武家の決まりごととして、吉祥模様と四季にまつわる模様を使うこともあり、熨斗模様と藤の花という組み合わせも、いかにも武家女性の好みという雰囲気です。
あちこちに、刺繍された亀と、鹿の子絞りによる青い丸の模様が散らされています。「鹿の子絞り」は、ほんの少し布をつまんで糸でぐるぐる巻きに絞ってから染める技法で、粒つぶで線や形を表します。亀の丸文の下地をよく見ると、「大」「小」という字の下書きのような輪郭線が見えます。明治時代初期まで日本で使われていたカレンダーでは、30日ある月を「大の月」、29日の月を「小の月」としていました。毎年変わる大小の月の並び方を把握するために、「大小暦」というものが作られました。おそらく、この小袖の丸文は当初、大小暦をモチーフにしたデザインだったのが、途中でなんらかの理由により変更となったのでしょう。作り手のプロセスまで見えてくる、珍しい作品です。

メタデータ

教育

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収録されているデータベース

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2026/07/20