陣羽織 猩々緋羅紗地応龍波濤模様 Kabuki Costume (Jinbaori Jacket) with Winged Dragons in Wavesじんばおり しょうじょうひらしゃじおうりゅうはとうもよう
解説
大奥でも歌舞伎が演じられるようにするため女性の「お狂言師」となった坂東三津江の衣装。細川藩主斉樹の正室・蓮性院(1785~1861)のために演じた「一谷嫩軍記【いちのたにふたばぐんき】」で使用したと伝えられます。陣羽織は甲冑の上から着用する上着で猩々緋と呼ばれる赤が鮮やかです。
これは陣羽織(じんばおり)といって、甲冑の上から切る袖なしの上着です。実際に戦のために着用されたのではなく、日本の伝統芸能である歌舞伎の衣装として用いられました。この衣装は江戸時代、19世紀に大奥で活躍した女狂言師、坂東三津江(ばんどうみつえ)が「一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)」という演目の中で、源義経役に使用したと伝えられています。
鮮やかな赤い地に、翼のある龍と雲、そして波の模様が刺繍され、インパクト十分。舞台上で目立つことを前提にした、遠目にも派手で華やかなデザインです。どこか中国テイストのいさましい雰囲気ですが、こうした中国ふうのデザインは男性役、いっぽう女性の役には日本ふうのデザインが多いというのは、歌舞伎だけでなく能にも共通していえることです。
フェルトのように見える質感の生地は、羅紗(らしゃ)と呼ばれるもので、毛織物の表面を毛羽立たせています。当時日本ではまだ毛織物はつくられていなかったので、ヨーロッパから輸入された高級品だったのでしょう。タイトルにある猩々緋(しょうじょうひ)というのは、とくに羅紗地に対して用いられる、猩々という妖怪の体や髪の色に似た鮮やかな赤い色の名前です。
繰り返しパターンの模様を織り出す能装束に対し、大胆なモチーフを刺繍した歌舞伎衣装は、立体的で大きな柄を自由な配置でデザインできるのが特徴です。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/05/25