打掛 紅綸子地御簾薬玉桜模様 Formal Outer Kimono (Uchikake) with Bamboo Curtains, Kusudama, and Cherry Blossomsうちかけ べにりんずじみすくすだまさくらもよう
解説
鶴の吉祥模様を地紋に織り出した華麗な綸子(りんず)地を紅色に染めた打掛。刺繍(ししゅう)で表わされた薬玉と御簾の模様もまた日本における吉祥模様の1つである。古来、宮中では年中行事として、5月5日の端午(たんご)の節句には、御簾や柱に花と五色の糸で飾った薬玉を掛けて厄除(やくよ)けとした。20090331_h101
打掛(うちかけ)は、今も結婚式で花嫁が着る格式の高い着物です。綸子というつやのある紅い絹地に、金や絹の糸を使った刺繍(ししゅう)や鹿の子絞りでもようを表わした、豪華な打掛です。
全体的に刺繍や絞り染めでもようが表わされていること、そして高価な紅色で地が染められていることから見ても、身分の高い女性が着ていたと思われます。華やかな色合いからは若い娘が想像されますが、袖のもようの配置を見ると、振袖を切ったのではなく、はじめから留袖として作られたようです。若い奥さまの晴れ着だったのでしょう。
もようを見てみましょう。桜の花が一面に咲きほこっています。同じ桜の花でも、白い地を花の形に染め抜いたもの、絹糸や金糸で刺繍したもの、鹿の子絞りで染めたもの…とさまざまで、それが花の微妙な色合いのバリエーションを作り出しています。もっとも華やかなモチーフは、右上に見える薬玉(くすだま)でしょう。これは薬草などを錦の袋に入れ、造花や菖蒲の葉などを結びつけ、五色の糸を垂らしたもので、端午(たんご)の節句に厄除けとして飾られたそうです。どこまでものびる五色の糸とともに、御簾(みす)が動きのある曲線的なデザインを作り出しています。薬玉と御簾という、王朝ふうのモチーフから、公家文化への憧れがみてとれます。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/03/30