片輪車蒔絵螺鈿手箱 Box for Personal Items with a Design of Carriage Wheels in Waterかたわぐるままきえらでんてばこ
解説
平安後期の工芸を代表する蒔絵の名品。金・青金【あおきん】の研出【とぎだし】蒔絵と螺鈿を用いて流水に半ば浸された無数の車輪を描き、内面には金・銀の研出蒔絵で草花や飛鳥を散らす。この作品は、今日では手箱とよばれているが、装飾経を収める経箱【きょうばこ】として造られた可能性が高い。(121010_h12)
手箱(てばこ)とは身の回りの小物を納める箱ですが、この作品は、もともとは巻物のお経を入れる経箱(きょうばこ)だったと考えられています。外側の文様は、余白を埋め尽くすように水の流れをあらわし、所々に牛車(ぎっしゃ)で使われる車輪を数個ずつランダムに配置しています。木でできた車輪は乾いて割れるのを防ぐため水に漬けて使っていたとされ、この光景を文様としたものを「片輪車(かたわぐるま)」と呼んでいます。この手箱では、モチーフを漆で描いた後、乾かないうちに金粉を蒔きつける「蒔絵(まきえ)」という技法と、貝がらの内側を平らに加工したものを貼りつける「螺鈿(らでん)」という技法を用いて、にぎやかに片輪車の文様をあらわしています。蓋を開けた内側には、鳥や松、梅などの植物が間隔をとって蒔絵であらわされ、モチーフで埋め尽くされていた外側の文様とは対照的です。外側と内側の文様は、いずれも優雅で生き生きとあらわされ、当時の繊細な感覚を知ることができるでしょう。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/07/20