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柴垣蔦蒔絵硯箱 Writing Box with a Brushwood Fence and Ivyしばがきつたまきえすずりばこ

解説

蓋裏に「古満休意作 同休伯安章極之」の銘があり、古満【こま】派の代表作として知られる硯箱。作者の休意【きゅうい】はその初代で、江戸に住み、寛永13年(1636)に幕府お抱えの蒔絵師となりました。古満家は2代・3代・5代が休伯【きゅうはく】を称し、江戸時代末まで11代続いています。


 筆記に用いる硯や筆などの道具を納めるための箱が「硯箱」です。こうした箱は、日本では10世紀ころより作られ始めたと考えられています。硯箱の多くは木製で、表面に漆を塗ったり、金粉で文様を表す「蒔絵」や、文様の形に切った貝を貼り付ける「螺鈿」で装飾した作品も登場しました。
 この硯箱は木製で、表面に黒漆を塗り、蒔絵が施されています。蓋の表から身の側面にかけては、柴(しば)を束ねてつくった垣(かき)に蔦(つた)が絡まる図柄が、金蒔絵を主体として、きわめて緻密にあらわされます。深まる秋に色づく葉の表現には、朱が用いられています。しっとりとした静かな秋の風情です。これに対して、身の内側の水滴(すいてき)と硯を納める板には、川辺の葦(あし)と斜めにふる雨が、金銀の蒔絵で描かれます。また蓋裏にも、雨の中を飛ぶ鷺(さぎ)が描かれています。軽快な絵のタッチが、動きを感じさせます。硯箱の外と内とで、意匠があざやかなコントラストをなし、それが硯箱という形式の中で統一されています。いずれにしても、この作品のように繊細かつ多彩な技法を用い、色調の変化や動きをとらえた、優れて絵画的な表現は、それまでの蒔絵作品にはなかったものです。
 蓋裏には金蒔絵で、この硯箱が古満休意の作であるとする古満休伯(こまきゅうはく)名義の銘文が記されています。古満家は代々、江戸幕府に召し抱えられた御用蒔絵師(ごようまきえし)の家系です。休意はその初代にあたり、寛永13年、1636年に、幕府のお抱えとなったといいます。そののち、第2代、3代、5代目が、銘文の休伯を名乗っています。そののち、第2代、3代、5代目が、銘文にみえる「休伯」を名乗っています。

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2026/07/20