解説
グレーの地に、白い線で岩にとまる鶺鴒(セキレイ)や水の流れが表されています。ねずみ色の地に白抜き文様のこのような器を、鼠志野(ねずみしの)と呼びます。
周囲が広く張り出し、すこしゆがんだ形が特徴的なこの鉢は、お茶席で料理が出される際、魚などの焼物を人数分盛り、一人ずつ回して取っていく時に使われる器です。畳の上で使うことを想定されており、脚がついています。低い位置に置いた鉢を、上から眺める視点を意識してか、縁までいっぱいにデザインが描かれています。
岐阜県で作られる、美濃焼のうち志野と呼ばれる種類のうつわです。その志野独特の白い土で作られた器全体に、鉄分を含む絵の具を流しかけた時、偶然かけ残した中央の部分を岩に見立ててこのデザインが決まったようです。そして、のちに焼いた時にねずみ色になる、絵の具をかけた部分から、鶺鴒や水の流れなど文様だけを掻き落とします。最後に全体にガラスのコーティングをしたようになる釉薬(ゆうやく)をかけ、このように仕上がりました。偶然の生み出した、他に二つとないデザインといえるでしょう。
素地に鬼板と呼ばれる鉄分を含んだ泥漿を掛けて文様部分だけ掻き落とし、全体に長石釉を掛けて焼き上げると、鼠色地に白い文様の「鼠志野」となります。この鉢は泥漿が偶然掛からなかった部分を岩に見立て、そこに一羽の鶺鴒がとまる様子をあらわしています。
収録されているデータベース
ColBase
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最終更新日
2026/09/14