解説
信家は安土桃山時代の鐔工で、鉄の枯淡な味わいを生かした作風を得意とする。この鐔は信家のなかでも瀟洒な作風を示し、鉄地の力強さを残しながらも全体を三巴文に大きく透彫を施し、地に高彫の三巴文と菊花文をアクセントとして配している。(20170425_h132)
鐔(つば)は刀剣の柄(つか)に装着するもので、扱いやすいように重さを調整したり、敵からの攻撃から防御するために使われました。日本では16世紀ごろになると、鉄などの金属を素材として、文様のかたちをくり抜く「透彫(すかしぼり)」の技法を用いた鐔が多くみられるようになりました。この鐔も鉄製で、アルファベットの「C」のような形を三つ組み合わせた「三つ巴文(みつどもえもん)」という文様を大きく透彫にして、残った鉄の部分に、小さな三つ巴文や菊の花の文様をレリーフ状にあらわしています。作者の信家は、現在の愛知県の西の半分にあたる尾張国(おわりのくに)で鐔を専門に作っていた人物とされています。こぶのように隆起した暗い色調の鉄の質感や、戦いの心構えや剣の極意を文字にしてあらわす点などに特徴があり、その武骨な作風は多くの武人を魅了しました。この鐔は、信家のなかでも力強さとともに豊かなデザイン感覚がみられる比較的珍しい作品です。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/07/20