金銅八仏種子五鈷鈴 Bell with a Five-Pronged Vajra and Characters Symbolizing Deitiesこんどうはちぶつしゅじごこれい
解説
鈴身に金剛界四仏、胎蔵界四仏、あわせて八仏の種子を円相内に表した五鈷鈴。鈷はすんなりとした形で、唐草文を線彫りし、把手の中央の鬼目は4個の花文にしている。鈴身の種子の周りも連珠文、華文、渦巻文などがあらわされ、装飾性が豊かである。
ルビ;はしゅ きもく (2005/03/08_h12) (2014/05/08_h031)
密教は仏教の宗派の一つで、古代インドで発生し中国にも広まります。平安時代のはじめ、弘法大師空海(こうぼうだいしくうかい)はその教えを中国で学び、日本で真言密教(しんごんみっきょう)を開きました。密教では、「大日如来」(だいにちにょらい)という仏を中心に、多種多様な仏が異なる役割をもち宇宙を構成していると考えられています。
密教では、「密教法具」(みっきょうほうぐ)と呼ばれる独特の道具が用いられます。密教法具には様々な種類がありますが、その内容は大きく2つに分かれます。一つは捧げものや液体、花やお香を入れる実用的な器類。もう一つが、先の尖った武器のような形をしており、実用というよりはシンボルのような役割を果たすものです。実際には古代インドの武器が原型になったといわれています。武器のシンボルで、煩悩や邪悪なものを打ち破るという意味が込められているのです。密教法具は壇の上に規則にのっとって整然と並べられ、僧侶はその壇を前に儀式を行います。
五鈷鈴は密教法具の一つで、持ち手に五鈷、つまり5つの尖った部分をもつ鈴、ベルです。素材は銅で、表面に金メッキを施した金銅製です。持ち手部分はかつて武器であった名残をとどめ、いかめしさを示しています。一方でベルは実際に儀式の際に振り鳴らしたもので、この道具には実用性とシンボル性が同居しています。ベルの部分には密教に登場する、重要な8つの仏を表す種子(しゅじ)。種子とは古代インドで使われたサンスクリット文字のことで ある仏には、ある特定の文字が決められており、仏を描き表すさい、仏像ではなくしばしば文字で表されました。細部の彫刻はたいへん細かいのですが、エッジが鋭く、表現に力強さがあります。こうした表現は鎌倉時代の特色です。およそ700年前、この五鈷鈴ベルはどのような音色を響かせていたのでしょうか。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/07/20