興福寺鎮壇具 瑞花双鳳八花鏡 Ritual Objects Used to Consecrate the Site of Kōfukuji Temple, Eight-Lobed Mirror with Auspicious Flowers and Paired Phoenixesこうふくじちんだんぐ ずいかそうほうはっかきょう
解説
鎮壇具(ちんだんぐ)とは、寺院などを建てるときに、土地の神を鎮めるために捧げられたものです。お堂や塔が長く安泰であることを願って、建物の基壇の下に納められました。今も、家の新築の際に地鎮祭を行うのと同じです。
ここに展示されているのは、奈良・興福寺中金堂の基壇から明治7年(1874)に出土した鎮壇具です。今回は、そのなかに2面ある鏡のうちの1面を紹介します。
鏡といってもどこに顔が映るの? と思われた方も多いと思います。実は、皆様にご覧いただいているのは、鏡の背面で、反対側には模様がなく、そちらに姿を映します。この鏡は銅に錫を混ぜた銅合金の鏡で、よく磨けばちゃんと人の顔が映ります。ちなみに、銅の合金は混ぜる錫の量によって、青銅、響銅(さはり)、白銅と名前が変わりますが、白銅はそのうち、錫の量が多いもの。よく映りますが、割れやすいという特徴があります。鎮壇具として納められた際に、何かの意味を込めて割られたものか、自然に割れてしまったものかはわかりません。
中央にある丸い突起は、紐(ひも)を通す円形の鈕(ちゅう)です。この円鈕(えんちゅう)をはさんで空想上の鳥、鳳凰(ほうおう)と瑞花(ずいか)、おめでたい花が一対ずつ表されています。同じような文様と形式は中国の唐時代・8世紀に盛んにつくられたもので、日本に残っているものは、そうした鏡が輸入された場合と、そこから型をとって日本で作られた場合の両方があります。
興福寺金堂鎮壇具中にある2面の鏡のうちの1面で、円鈕【えんちゅう】をはさんで鳳凰と唐花【からはな】を一対ずつ配します。中国・唐時代に制作された同種の文様と形式の銅鏡があり、この作品も唐で作られたと判断されます。日本ではこうした唐鏡を模して鏡を作ることも行われました。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/07/20