解説
岩の上の鷲が翼を大きく広げ、眼光鋭いその姿は、獲物を捕らえようと今にも飛び立ちそうです。また、羽には無数の筋が入り、足には細かい皺(しわ)が表され、質感を感じさせるほどの克明な表現によってこの置物は本物の鷲のように見えます。こうした置物は、まず土で鷲のおおよその形を作り、その上を蠟(ろう)で覆って細かい部分を彫刻します。次に全体に土を被せてこれを加熱して溶けた蠟を取り去り、空洞となった部分に青銅(せいどう)という金属を流し込んで作られています。この技法のことを「蠟型鋳造(ろうがたちゅうぞう)」と呼びます。作者の鈴木長吉は、明治時代に活躍した蠟型鋳造の名人で、鷲や鷹といった鳥の置物の制作を得意としていました。また、長吉の作品は、国内外で開催されていた万国博覧会に出品され、高い評価を得ました。この置物も明治26年(1893年)にアメリカで開催されたシカゴ・コロンブス世界博覧会に出品されたもので、明治時代に日本の技が世界を驚かせたことを示す名品です。
鈴木長吉【すずきちょうきち】は、輸出用工芸品を作った起立【きりつ】工商会社の監督を務めるなど明治時代を代表する鋳金家【ちゅうきんか】です。本品は羽一枚に至るまで精緻に表されており、蝋型鋳造【ろうがたちゅうぞう】を得意とした長吉の真価が発揮された代表作です。明治26年の米国・シカゴ・コロンブス世界博覧会に出品されました。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/07/20