本文に飛ぶ

愛染明王坐像 The Wisdom King Aizenあいぜんみょうおうざぞう

解説

 真っ赤なからだ、3つの目と6本の腕をもち、獅子の冠をかぶる愛染明王(あいぜんみょうおう)の像です。
 めらめらと燃えるように逆立つ髪の毛、眉を吊り上げてにらみつける目、牙をみせて大きく開けた口。全身で怒りを表わす姿に、誰もが特別な力を感じることでしょう。
 愛染明王は、愛の仏として知られており、男女関係をつかさどるイメージが強くありますが、ときには敵対する者を呪(のろ)う一方で、子孫繁栄を約束するなど、さまざまな祈願をかなえると信じられていました。手にしている弓矢は祈願の成就の象徴です。左の真ん中の手は空手(くうしゅ)といって、もともと何も持たない手ですが、修法(しゅほう)の際には人の名前を書いた札など、祈願の対象となる何かを持たせることもあったようです。
 明王の台座にもご注目ください。蓮の花の台、蓮華座(れんげざ)の下に、金色に光る壺のようなものがありますね。これは、宝物がどんどん出てくる壺、宝瓶(ほうびょう)です。宝瓶の下には、貝や、焔(ほのお)のような飾りを付けた緑の宝珠(ほうじゅ)があります。これらはみな宝瓶からあふれ出てきたもの。よく見ると、宝瓶の口のところから、赤、青、緑、カラフルな宝物があふれ出ようとしている様子も表わされています。
 人びとの願いをかなえてくれる、愛染明王のただならぬパワーを感じさせる造形です。


愛染明王は愛欲@あいよく@などの煩悩@ぼんのう@を昇華@しょうか@して悟りに至らせる仏ですが、さまざまな願いにも応えるといいます。本像はかつて奈良・内山永久寺@うちやまえいきゅうじ@(現在は廃絶)に伝わり、光背@こうはい@や台座、厨子@ずし@も制作当時のまま残ります。優れた作行@さくゆき@から13世紀後半の慶派@けいは@仏師の作と考えられます。

メタデータ

教育

規約に従うことで制限なく利用できる

非商用

規約に従うことで制限なく利用できる

商用

規約に従うことで制限なく利用できる

収録されているデータベース

ColBase

ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。

2026/07/20